凶悪
2014-09-09(Tue)
人の心の隙に忍び込んでくる凶悪。
そして老人問題も透けて見えてくる。

監督:白石和彌
製作:2013年 日本
原作:新潮45編集部「凶悪―ある死刑囚の告白―」
上映時間:128分
出演:*山田孝之 *ピエール瀧 *リリー・フランキー *池脇千鶴 *白川和子
知るべき闇は、真実の先にある。
出版社の記者・藤井(山田孝之)は、
収監中の死刑囚・須藤(ピエール瀧)から、
「まだ誰にも話していない余罪が3件ある。
首謀者の『先生』がのうのうとしてシャバにいるのが
許せないから記事にしてくれ」と言われる・・・
原作は新潮45編集部による「凶悪―ある死刑囚の告白―」。
本作が実際に起きた事件を基にした映画だなんて
ゾゾ~ッと身震いしたし暗澹たる気持ちになったわ・・・(- -;)
これは気付かないうちに隣で起きてそうなんですよね。
ネタバレあるかも ↓

最悪の2人 恐ろしい~(><) 凄い演技だったな・・・
木村(リリー・フランキー)だって丁寧口調の善人面で、
可愛らしい娘のいる普通の人として暮らしてましたよ。
冒頭からいきなり残酷な行動を見せる須藤、
ヤクザで凶暴な人の中にはいるかもって思えたなあ。
金目当ての本性を現した時、
人の命なんて何とも思わない軽さで次々と殺人を犯す。
焼却炉で焼く、生き埋めにする、酒を死ぬまで飲ませる・・・
嬉々として凶悪な事をやった後で、すぐに焼き肉の
クリスマスパーティーをやったりする、( ̄□ ̄;)
その感覚の異常性には本当に背筋が寒くなったわ!
「ぶっ込む」って言葉(殺すの意味)、やけに耳に残りました。
3人も死んでるのに、警察は確証がないから事件に出来ないと
言うし、編集長は「当たり前過ぎて記事にならない」と言うし、
この軽いあしらい方にも 苛立ちを覚えました。(- -;)
だから藤井が必死に取材・調査して木村を追い詰めたのは
『良しっ』って思いになったけど、ちょっと複雑でしたね。
それは正義感で行動したようには見えなくて、
悪の狂気に飲み込まれたと言うか、
家庭問題からの現実逃避と言うか、
木村に対する膨らんだ憎悪からと言うか、
そんな様々な要素が見えて藤井にも危うさを感じました。
ラストで「私を誰よりも殺したいと願っているのは・・・」で
示すように、普通の人の中に殺意が目覚める可能性を
見せていました。藤井本人もそう。
電気屋の牛場家も、借金をした飲んだくれの爺さんに対し、
木村の誘い文句で家族が殺意を抱く。
藤井の妻もとことん追い詰められて義母に殺人衝動を。
「私、お母さんを殴ってる。」「死ぬのを待ってるの。」
藤井の家庭が描かれる事で、
高齢化社会が浮き彫りになっていましたね。
嫁をたたくほど認知症が進んでいる母の介護で家庭は崩壊寸前。
介護が必要な老人を一人で抱えるのは本当に大変な事で
精神の異常をきたす事は充分あり得ます。
藤井は母を老人ホームに入れる事に罪悪感を持っていたけど、
罪悪感を持つポイントが完全に間違っています!
自分が介護から目を逸らし何もしない事に対して持つべきでしょう。
最後にはそれに気付いたようだったので、
夫婦には希望が見えましたが。
3つの事件の被害者は老人ばかりです。
土地を勝手に転売されても、姿を消しても、
孤立した老人は気付かれない。
見守る人がいないのだから。
老人に対し無関心を装ったり疎んだりする風潮。
そんな隙に付け込んだ木村の犯行でした。
一般人は殺人衝動を抱えても実際に殺したりはしないでしょう。
木村や須藤の凶悪は別格で、実際に手を下す彼らと
一般人では隔たりがあると思います。
でも彼らの様な凶悪は誰もの心の隙間に付け込んでくる。
すぐ隣にやって来る。
この事が一番恐ろしいと感じました。
そして老人問題も透けて見えてくる。

監督:白石和彌
製作:2013年 日本
原作:新潮45編集部「凶悪―ある死刑囚の告白―」
上映時間:128分
出演:*山田孝之 *ピエール瀧 *リリー・フランキー *池脇千鶴 *白川和子
知るべき闇は、真実の先にある。
出版社の記者・藤井(山田孝之)は、
収監中の死刑囚・須藤(ピエール瀧)から、
「まだ誰にも話していない余罪が3件ある。
首謀者の『先生』がのうのうとしてシャバにいるのが
許せないから記事にしてくれ」と言われる・・・
原作は新潮45編集部による「凶悪―ある死刑囚の告白―」。
本作が実際に起きた事件を基にした映画だなんて
ゾゾ~ッと身震いしたし暗澹たる気持ちになったわ・・・(- -;)
これは気付かないうちに隣で起きてそうなんですよね。
ネタバレあるかも ↓

最悪の2人 恐ろしい~(><) 凄い演技だったな・・・
木村(リリー・フランキー)だって丁寧口調の善人面で、
可愛らしい娘のいる普通の人として暮らしてましたよ。
冒頭からいきなり残酷な行動を見せる須藤、
ヤクザで凶暴な人の中にはいるかもって思えたなあ。
金目当ての本性を現した時、
人の命なんて何とも思わない軽さで次々と殺人を犯す。
焼却炉で焼く、生き埋めにする、酒を死ぬまで飲ませる・・・
嬉々として凶悪な事をやった後で、すぐに焼き肉の
クリスマスパーティーをやったりする、( ̄□ ̄;)
その感覚の異常性には本当に背筋が寒くなったわ!
「ぶっ込む」って言葉(殺すの意味)、やけに耳に残りました。
3人も死んでるのに、警察は確証がないから事件に出来ないと
言うし、編集長は「当たり前過ぎて記事にならない」と言うし、
この軽いあしらい方にも 苛立ちを覚えました。(- -;)
だから藤井が必死に取材・調査して木村を追い詰めたのは
『良しっ』って思いになったけど、ちょっと複雑でしたね。
それは正義感で行動したようには見えなくて、
悪の狂気に飲み込まれたと言うか、
家庭問題からの現実逃避と言うか、
木村に対する膨らんだ憎悪からと言うか、
そんな様々な要素が見えて藤井にも危うさを感じました。
ラストで「私を誰よりも殺したいと願っているのは・・・」で
示すように、普通の人の中に殺意が目覚める可能性を
見せていました。藤井本人もそう。
電気屋の牛場家も、借金をした飲んだくれの爺さんに対し、
木村の誘い文句で家族が殺意を抱く。
藤井の妻もとことん追い詰められて義母に殺人衝動を。
「私、お母さんを殴ってる。」「死ぬのを待ってるの。」
藤井の家庭が描かれる事で、
高齢化社会が浮き彫りになっていましたね。
嫁をたたくほど認知症が進んでいる母の介護で家庭は崩壊寸前。
介護が必要な老人を一人で抱えるのは本当に大変な事で
精神の異常をきたす事は充分あり得ます。
藤井は母を老人ホームに入れる事に罪悪感を持っていたけど、
罪悪感を持つポイントが完全に間違っています!
自分が介護から目を逸らし何もしない事に対して持つべきでしょう。
最後にはそれに気付いたようだったので、
夫婦には希望が見えましたが。
3つの事件の被害者は老人ばかりです。
土地を勝手に転売されても、姿を消しても、
孤立した老人は気付かれない。
見守る人がいないのだから。
老人に対し無関心を装ったり疎んだりする風潮。
そんな隙に付け込んだ木村の犯行でした。
一般人は殺人衝動を抱えても実際に殺したりはしないでしょう。
木村や須藤の凶悪は別格で、実際に手を下す彼らと
一般人では隔たりがあると思います。
でも彼らの様な凶悪は誰もの心の隙間に付け込んでくる。
すぐ隣にやって来る。
この事が一番恐ろしいと感じました。