その夜の侍
2013-07-25(Thu)
復讐劇の形を取りながら、
人間の内面を深くえぐった作品!
妙に心を掴まれた~

監督:赤堀雅秋
製作:2012年 日本
上映時間:119分
出演:*堺雅人 *山田孝之 *綾野剛 *安藤サクラ
*田口トモロヲ *新井浩文 *谷村美月 *高橋努
愚かに、無様に、それでも生きていく。
妻を轢き逃げ事件で失った中村(堺雅人)は、
妻の遺骨を目の前に置き、妻が残した留守電を
繰り返し聞いて、ひたすらプリンを食べ続ける。
なんと5年間も( ̄□ ̄;)、時が止まったまま、
深い喪失感と絶望感に沈んでいた。
彼を生に繋ぎとめていたのは、
轢き逃げ犯・木島(山田孝之)への復讐心のみだった。
木島は出所してからも、無反省で自堕落で
暴力的な振る舞いに明け暮れている。(- -;)
2人の周辺の人間を映し出していくと、
「平凡っていうのは全力で築き上げるもの」と言う
セリフがあったけど、平凡でありたいと願いながら、
そのささやかな願いさえ叶えられない、
哀れな姿が浮かび上がってきます。
だけど特別じゃないんですよね。
平凡という枠から、ちょっとハミ出ただけで、
誰もが世の中のどこかにいそうなタイプにも思えます。
ネタバレあります ↓
人間の内面を深くえぐった作品!
妙に心を掴まれた~

監督:赤堀雅秋
製作:2012年 日本
上映時間:119分
出演:*堺雅人 *山田孝之 *綾野剛 *安藤サクラ
*田口トモロヲ *新井浩文 *谷村美月 *高橋努
愚かに、無様に、それでも生きていく。
妻を轢き逃げ事件で失った中村(堺雅人)は、
妻の遺骨を目の前に置き、妻が残した留守電を
繰り返し聞いて、ひたすらプリンを食べ続ける。
なんと5年間も( ̄□ ̄;)、時が止まったまま、
深い喪失感と絶望感に沈んでいた。
彼を生に繋ぎとめていたのは、
轢き逃げ犯・木島(山田孝之)への復讐心のみだった。
木島は出所してからも、無反省で自堕落で
暴力的な振る舞いに明け暮れている。(- -;)
2人の周辺の人間を映し出していくと、
「平凡っていうのは全力で築き上げるもの」と言う
セリフがあったけど、平凡でありたいと願いながら、
そのささやかな願いさえ叶えられない、
哀れな姿が浮かび上がってきます。
だけど特別じゃないんですよね。
平凡という枠から、ちょっとハミ出ただけで、
誰もが世の中のどこかにいそうなタイプにも思えます。
ネタバレあります ↓
この映画は凶悪な木島でも極悪人だとして突き放してはいません。
殺すと言っても殺しはしない。
彼に酷い仕打ちを受けながらも、『一人よりマシ』と言う理由で
一緒にいる人間達がいる。
自分から決闘の場所に現れた。
特におかしかったのは、決闘後、バツの悪さを
ごまかしたような表情で中村を見て消えていった所。
まるで子供みたいな姿でした。(≧ε≦)
彼は暴力的ではあるけど、無責任で無思慮な小者なんですよね。
人間の孤独、悲しさ、愚かさを、
泥臭さと笑いの混じった独特のタッチで描かれているのが、
印象深いですね~
生きる事の息苦しさにヒリヒリするんだけど、
突如笑えるシーンや脱力するシーンが出てくるんです。
「バーミアンで言いふらしました」
「ポテトチップが開かない!」
「タイタニック無かったです」とか、笑っちゃった(≧▽≦)
張り詰めた空気を一気に緩める、
この緩急の付け方は、不思議な味わいを残しますね。
いよいよクライマックスの中村と木島の対峙!
土砂降りの雨での乱闘を演じた2人は大変だったろうな~
中村の「他愛のない話がしたい」の意味を考えてしまった。
ここでは、彼の孤独や平凡へのあこがれを描きたかったのかも?
でも、この前に、ホテトル嬢と他愛もない話題で
全くコミュニケーションが取れず、虚しい気持ちになったように、
彼は、他愛もない会話が成立する相手と
成立しない相手がいる事は分かっています。
当然のごとく、木島は成立しない相手です。
となると、あのセリフは、木島の1カ月の食事メニューに
ついて話す前振りだったとも取れますね。
「君はなんとなく生きているの?」
これが一番突き付けたかったナイフなんじゃないでしょうか。
恐らくそれは木島に刺さったと思います。
さらけ出された自分の無価値・無意味に対して
バツの悪そうな表情をしていましたから。
中村は、自分の中の木島の存在を殺した。
全力で平凡を取り戻しに行ったのでしょう。
だからと言って、スッキリ前を向けるわけでもない。
プリンを顔に塗りたくる表情は、まだ葛藤があるような・・・
でも人は辛い過去を断ち切って生きてゆかねばならない。
自分の中の木島を消して、妻の留守録を消して、
死んだように生きていた自分を消して、
生きていく事にした・・・ グッと胸にきましたね(;_;)
ラストの歌♪アイ・ラブ・ユー・・・いつまでも・・・♪は、
閉塞感漂う中で、無様にも何とか生きていこうと
している全ての人間に向けて歌っている気がしました。
観終わって、あの脂汗のように、ずっとベタベタと
身体にへばりついて離れないんですよね。この映画。
殺すと言っても殺しはしない。
彼に酷い仕打ちを受けながらも、『一人よりマシ』と言う理由で
一緒にいる人間達がいる。
自分から決闘の場所に現れた。
特におかしかったのは、決闘後、バツの悪さを
ごまかしたような表情で中村を見て消えていった所。
まるで子供みたいな姿でした。(≧ε≦)
彼は暴力的ではあるけど、無責任で無思慮な小者なんですよね。
人間の孤独、悲しさ、愚かさを、
泥臭さと笑いの混じった独特のタッチで描かれているのが、
印象深いですね~
生きる事の息苦しさにヒリヒリするんだけど、
突如笑えるシーンや脱力するシーンが出てくるんです。
「バーミアンで言いふらしました」
「ポテトチップが開かない!」
「タイタニック無かったです」とか、笑っちゃった(≧▽≦)
張り詰めた空気を一気に緩める、
この緩急の付け方は、不思議な味わいを残しますね。
いよいよクライマックスの中村と木島の対峙!
土砂降りの雨での乱闘を演じた2人は大変だったろうな~
中村の「他愛のない話がしたい」の意味を考えてしまった。
ここでは、彼の孤独や平凡へのあこがれを描きたかったのかも?
でも、この前に、ホテトル嬢と他愛もない話題で
全くコミュニケーションが取れず、虚しい気持ちになったように、
彼は、他愛もない会話が成立する相手と
成立しない相手がいる事は分かっています。
当然のごとく、木島は成立しない相手です。
となると、あのセリフは、木島の1カ月の食事メニューに
ついて話す前振りだったとも取れますね。
「君はなんとなく生きているの?」
これが一番突き付けたかったナイフなんじゃないでしょうか。
恐らくそれは木島に刺さったと思います。
さらけ出された自分の無価値・無意味に対して
バツの悪そうな表情をしていましたから。
中村は、自分の中の木島の存在を殺した。
全力で平凡を取り戻しに行ったのでしょう。
だからと言って、スッキリ前を向けるわけでもない。
プリンを顔に塗りたくる表情は、まだ葛藤があるような・・・
でも人は辛い過去を断ち切って生きてゆかねばならない。
自分の中の木島を消して、妻の留守録を消して、
死んだように生きていた自分を消して、
生きていく事にした・・・ グッと胸にきましたね(;_;)
ラストの歌♪アイ・ラブ・ユー・・・いつまでも・・・♪は、
閉塞感漂う中で、無様にも何とか生きていこうと
している全ての人間に向けて歌っている気がしました。
観終わって、あの脂汗のように、ずっとベタベタと
身体にへばりついて離れないんですよね。この映画。