八日目の蝉
2013-04-20(Sat)
2011年日本アカデミー賞総なめの見応えある人間ドラマ。
泣けた~~(;_;)・・・けどね、私はあの女のした事は許せないな。

監督:成島出
製作:2011年 日本
原作:角田光代
上映時間:147分
出演:*井上真央 *永作博美 *小池栄子 *森口瑤子 *渡邊このみ
優しかったお母さんは、私を誘拐した人でした。
不誠実な男との不倫で妊娠・中絶をし、
子供を産めない身体になった野々宮希和子(永作博美)。
本妻が産んだ赤ん坊を誘拐し、その子に薫と名付け
逃亡しながら大切に育てていく。
生まれてすぐに誘拐されたのは秋山恵理菜(井上真央)。
4才の時に両親の元に戻されたが、
彼らに懐かず、良好な親子関係を築けずにいた。
大学生になって、かつての希和子と同じく、
妻子ある男の子供を身籠る。
彼女はこれまで封印してきた記憶と向き合うために、
フリーライターの安藤(小池栄子)と共に、
過去を振り返る旅に出る・・・
母親の立場側で見てしまうせいか、
希和子のやった事は許せん!と思いました。
永作さんが素晴らしい演技を見せてくれて、
つい感情移入しそうになったんだけど、
やっぱりこの映画を観終わっても、
許し難い気持ちは変わらなかったです。
ネタバレあります ↓
泣けた~~(;_;)・・・けどね、私はあの女のした事は許せないな。

監督:成島出
製作:2011年 日本
原作:角田光代
上映時間:147分
出演:*井上真央 *永作博美 *小池栄子 *森口瑤子 *渡邊このみ
優しかったお母さんは、私を誘拐した人でした。
不誠実な男との不倫で妊娠・中絶をし、
子供を産めない身体になった野々宮希和子(永作博美)。
本妻が産んだ赤ん坊を誘拐し、その子に薫と名付け
逃亡しながら大切に育てていく。
生まれてすぐに誘拐されたのは秋山恵理菜(井上真央)。
4才の時に両親の元に戻されたが、
彼らに懐かず、良好な親子関係を築けずにいた。
大学生になって、かつての希和子と同じく、
妻子ある男の子供を身籠る。
彼女はこれまで封印してきた記憶と向き合うために、
フリーライターの安藤(小池栄子)と共に、
過去を振り返る旅に出る・・・
母親の立場側で見てしまうせいか、
希和子のやった事は許せん!と思いました。
永作さんが素晴らしい演技を見せてくれて、
つい感情移入しそうになったんだけど、
やっぱりこの映画を観終わっても、
許し難い気持ちは変わらなかったです。
ネタバレあります ↓
希和子のせいで、
大切な4年間を奪われた家族は崩壊してしまった。
元々、本妻の恵津子(森口瑤子)は愛人の希和子に
「あんたは空っぽのがらんどう」と言うくらいキツい性格の
女だったし、男は優柔不断の不実な人間で、
希和子だけが全部悪いってわけじゃないけど、
その後何年も不幸の影が漂う家族を見て、
特に何の罪も無い恵理菜が淋しい大人になっているのを見て、
この犯罪の影響は大きいとしみじみ思いました。
実母の恵津子が、自分に懐かず誘拐犯との思い出の方が
大きくなっている我が娘と接する度、
精神不安定になってしまうのもムリはないでしょうね。(+_+)
「どうすればいいの?恵理菜ちゃんに好かれたいの」と
泣きわめくばかりの母に胸が痛くなりましたよ。
悪循環で、恵理菜はそんなヒステリックな母を慕う事が出来ず、
家庭の愛情を知らぬまま、表情の無い大人になってしまった・・・
現在の恵理菜の状況と共に、
過去の希和子の逃亡生活が挿入されます。
なんで、本妻の子が可愛いと思えるのか?とも感じたけど、
秋山家に侵入した時、泣いていた赤ちゃんが
希和子を見て泣きやみニコッと笑うのよね~(^_^)
赤ん坊の持つ絶対的な純粋無垢さって人を救うんですよね。
希和子はこの愛しい存在を守りたいって思ったでしょうし、
この子なら自分の罪も許してくれると思ったんですよね。
この汚れの無い存在に触れ母性が一気にわいてきたのね。
4年間の薫への愛情のかけ方はまるで聖母のようだった!
はたして彼女が、普通に自分が産んだ子だったら
あれだけの事をしてやれるかは疑問なんだけど。
希和子の中には、常に罪を犯した自分というのがあります。
いつか逮捕されてしまうだろう、
薫と一緒に過ごせる時間に限りがあるだろうと
思っていたから、今精一杯の事をしようと考えたでしょうね。
そして自分はもうどうなってもいいけど、
この子には世の中のきれいなものをたくさん見せたいと、
自分の全てを子供にかけていたんだと思います。
そのような特殊な状況ではあったけど、
紛れもない大きな愛情は存在してましたね。
幼少期の環境がとても大事だと言う事は、
旅に同行する安藤でも証明されます。
彼女は特殊なエンゼルホームで育てられたため、
男性恐怖症になり一般社会に適応できずに苦しんでいます。
恵理菜は自分の幼少期の4年間は空白で、
不幸にもすっぽりと抜け落ちていたと思っていたけど、
小豆島に着き、過去が甦ります。
実はとても愛されていて満たされていたのだった!
そして実親に遠慮して記憶を閉じ込めていたのだった。
過去と向き合って、初めてお腹の子に愛情を感じます。
母性は受け継がれていくものなんでしょう。
希和子が自分にしてくれたように、
自分の子にも世の中のきれいなものを
たくさん見せてあげたいと、
受け取った愛情がそのまま溢れてくるようでした。
最後まで希和子に再会する事なく終わったのでホッとしました。
希和子が出てきたら過去が過去でなくなり、
また両親との関係がギクシャクしそうだもの。
4年間の思い出は次の子供へ渡す愛情に
変えればそれでいいのだから、
「もうこの子が好きだ」で終わって良かったです。
両親との関係修復を示唆する言葉も出てきて、
希望が感じられるラストになっていました。
蝉は何年も土の中にいて生まれて七日で死ぬ。
恵理菜も安藤も、「八日目の蝉は一匹だけ生き残って
悲しい」と言っていたんですが、
最後には、「他の蝉には見られなかったきれいなものを
見られる」と言うんです。
長年の苦悩を乗り越えて、
そう思える心境に至った事に涙が溢れました。
#2011年日本アカデミー賞 作品賞・主演女優賞・助演女優賞・監督賞・
脚本賞・音楽賞・撮影賞・照明賞・録音賞・編集賞・新人俳優賞 受賞
大切な4年間を奪われた家族は崩壊してしまった。
元々、本妻の恵津子(森口瑤子)は愛人の希和子に
「あんたは空っぽのがらんどう」と言うくらいキツい性格の
女だったし、男は優柔不断の不実な人間で、
希和子だけが全部悪いってわけじゃないけど、
その後何年も不幸の影が漂う家族を見て、
特に何の罪も無い恵理菜が淋しい大人になっているのを見て、
この犯罪の影響は大きいとしみじみ思いました。
実母の恵津子が、自分に懐かず誘拐犯との思い出の方が
大きくなっている我が娘と接する度、
精神不安定になってしまうのもムリはないでしょうね。(+_+)
「どうすればいいの?恵理菜ちゃんに好かれたいの」と
泣きわめくばかりの母に胸が痛くなりましたよ。
悪循環で、恵理菜はそんなヒステリックな母を慕う事が出来ず、
家庭の愛情を知らぬまま、表情の無い大人になってしまった・・・
現在の恵理菜の状況と共に、
過去の希和子の逃亡生活が挿入されます。
なんで、本妻の子が可愛いと思えるのか?とも感じたけど、
秋山家に侵入した時、泣いていた赤ちゃんが
希和子を見て泣きやみニコッと笑うのよね~(^_^)
赤ん坊の持つ絶対的な純粋無垢さって人を救うんですよね。
希和子はこの愛しい存在を守りたいって思ったでしょうし、
この子なら自分の罪も許してくれると思ったんですよね。
この汚れの無い存在に触れ母性が一気にわいてきたのね。
4年間の薫への愛情のかけ方はまるで聖母のようだった!
はたして彼女が、普通に自分が産んだ子だったら
あれだけの事をしてやれるかは疑問なんだけど。
希和子の中には、常に罪を犯した自分というのがあります。
いつか逮捕されてしまうだろう、
薫と一緒に過ごせる時間に限りがあるだろうと
思っていたから、今精一杯の事をしようと考えたでしょうね。
そして自分はもうどうなってもいいけど、
この子には世の中のきれいなものをたくさん見せたいと、
自分の全てを子供にかけていたんだと思います。
そのような特殊な状況ではあったけど、
紛れもない大きな愛情は存在してましたね。
幼少期の環境がとても大事だと言う事は、
旅に同行する安藤でも証明されます。
彼女は特殊なエンゼルホームで育てられたため、
男性恐怖症になり一般社会に適応できずに苦しんでいます。
恵理菜は自分の幼少期の4年間は空白で、
不幸にもすっぽりと抜け落ちていたと思っていたけど、
小豆島に着き、過去が甦ります。
実はとても愛されていて満たされていたのだった!
そして実親に遠慮して記憶を閉じ込めていたのだった。
過去と向き合って、初めてお腹の子に愛情を感じます。
母性は受け継がれていくものなんでしょう。
希和子が自分にしてくれたように、
自分の子にも世の中のきれいなものを
たくさん見せてあげたいと、
受け取った愛情がそのまま溢れてくるようでした。
最後まで希和子に再会する事なく終わったのでホッとしました。
希和子が出てきたら過去が過去でなくなり、
また両親との関係がギクシャクしそうだもの。
4年間の思い出は次の子供へ渡す愛情に
変えればそれでいいのだから、
「もうこの子が好きだ」で終わって良かったです。
両親との関係修復を示唆する言葉も出てきて、
希望が感じられるラストになっていました。
蝉は何年も土の中にいて生まれて七日で死ぬ。
恵理菜も安藤も、「八日目の蝉は一匹だけ生き残って
悲しい」と言っていたんですが、
最後には、「他の蝉には見られなかったきれいなものを
見られる」と言うんです。
長年の苦悩を乗り越えて、
そう思える心境に至った事に涙が溢れました。
#2011年日本アカデミー賞 作品賞・主演女優賞・助演女優賞・監督賞・
脚本賞・音楽賞・撮影賞・照明賞・録音賞・編集賞・新人俳優賞 受賞