白いリボン
2011-07-22(Fri)
2009年カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作品。
今作もやっぱり後味は良くないけれども、
伝えたい事の雰囲気は何となく伝わって来た気がするので、
まあまあな方かな。決して好きではないけどね。(^^;

監督:ミヒャエル・ハネケ
製作:2009年 ドイツ・オーストリア・フランス・イタリア
出演:*クリスティアン・フリーデル *レオニー・ベネシュ *ウルリッヒ・トゥクール
美しい村 静かな暮らし 聴こえてくる魔物の足音
苦手なのは、観客に対して優しくないこの監督の姿勢。(^^;
まず登場人物の多さ。疲れます。
誰が主役って事もないので、
どの人もまんべんなく見ていかなくちゃいけない。
どの家もやたら子だくさんなのよね~(≧ε≦)
誰がどこの子供か、こんがらかっちゃう。
そして、事件を淡々とランダムに見せていくんだけど、
特に盛り上がりが無いので、忍耐力を必要としますね。
神父が子供に鞭打ちのお仕置きをするシーンは、
じれったい事この上ない!
ドアだけずっと見せていて、うめき声が聞こえるかと
緊張して耳を澄ませていたら、ドアが開いて少年が
他の部屋まで鞭を取りに出てくる・・・『まだかいっ!』
少年が廊下を歩く姿を長々と撮って、またドアだけを映す。
このもたつき加減、イライラさせますね~~(- -;)
冒頭、ナレーションで「不明な事がたくさんある」とか
「未だに解かれない謎も多い」と言っているので、
また曖昧なまま終わるんだろうなと、そこは覚悟していました。
「これから話す出来事が当時の我が国そのものだったのだ」
その意味が気になって見ていく事になりました。
ドイツの小さな村で、不可解な事件が立て続けに起こる。
医師が落馬事故で大怪我をする。
製材所で小作人の妻が事故死する。
男爵の息子が暴行される。小屋が火事になる。
助産婦の息子も暴行される。
村人たちは疑心暗鬼になり、村中に不穏な空気が流れる。
学校の教師が語り手になっていますが、
特別な感情の無い第三者の目が、隠れているものを
ジワジワと浮かび上がらせていく役割を持っていました。
村は男爵を頂点とし、家令・神父・医者がおり、
その下で小作人達が働く封建社会であり、
厳格なキリスト教の教えを守って暮らしています。
先ほどの鞭打ちは、子供の帰りがちょっと遅くなって
その理由を言わない事への躾・罰なんですよね。
そして純粋無垢な事を忘れないようにと子供に白いリボンを着ける。
必要以上の厳しさに見えるんだけど・・・(@_@;)
この前観た「リトル・ランボーズ」にも変わった宗教が出てきたけど、
行き過ぎた抑圧は、反抗心や不満を生むだけでした。
男爵夫人の言うように、この村にあるものは、
嫉妬・暴力・迫害・脅迫・復讐・・・
そんな隠された負を、子供達は冷ややかな目で見ている。
大人に服従しているけど、表情が暗く、何かを隠しているようです。
権力者や宗教による抑圧・・・しかも尊敬できないような者が
思い通りの秩序を作りたくて抑圧する。
抑圧された者は不満が鬱積し、はけ口を弱い者に向ける。
そのようにして悪意が人々の中にどんどん膨らんでいくのが不気味です。
ラストで第一次世界大戦が始まった事が分かります。
「当時の我が国そのもの」はここに繋がってくるのか・・・
大人の悪行を見て、そんな大人に抑圧された者の悪意が
ナチスの下地になったのかもしれないと充分に考えられますね。
この時代に限らずいつの時代でも、負の心がこんな風に
芽生える事は有り得るでしょう。不気味な映画でした。
関連記事*****
「ファニーゲーム」
「隠された記憶」
今作もやっぱり後味は良くないけれども、
伝えたい事の雰囲気は何となく伝わって来た気がするので、
まあまあな方かな。決して好きではないけどね。(^^;

監督:ミヒャエル・ハネケ
製作:2009年 ドイツ・オーストリア・フランス・イタリア
出演:*クリスティアン・フリーデル *レオニー・ベネシュ *ウルリッヒ・トゥクール
美しい村 静かな暮らし 聴こえてくる魔物の足音
苦手なのは、観客に対して優しくないこの監督の姿勢。(^^;
まず登場人物の多さ。疲れます。
誰が主役って事もないので、
どの人もまんべんなく見ていかなくちゃいけない。
どの家もやたら子だくさんなのよね~(≧ε≦)
誰がどこの子供か、こんがらかっちゃう。
そして、事件を淡々とランダムに見せていくんだけど、
特に盛り上がりが無いので、忍耐力を必要としますね。
神父が子供に鞭打ちのお仕置きをするシーンは、
じれったい事この上ない!
ドアだけずっと見せていて、うめき声が聞こえるかと
緊張して耳を澄ませていたら、ドアが開いて少年が
他の部屋まで鞭を取りに出てくる・・・『まだかいっ!』
少年が廊下を歩く姿を長々と撮って、またドアだけを映す。
このもたつき加減、イライラさせますね~~(- -;)
冒頭、ナレーションで「不明な事がたくさんある」とか
「未だに解かれない謎も多い」と言っているので、
また曖昧なまま終わるんだろうなと、そこは覚悟していました。
「これから話す出来事が当時の我が国そのものだったのだ」
その意味が気になって見ていく事になりました。
ドイツの小さな村で、不可解な事件が立て続けに起こる。
医師が落馬事故で大怪我をする。
製材所で小作人の妻が事故死する。
男爵の息子が暴行される。小屋が火事になる。
助産婦の息子も暴行される。
村人たちは疑心暗鬼になり、村中に不穏な空気が流れる。
学校の教師が語り手になっていますが、
特別な感情の無い第三者の目が、隠れているものを
ジワジワと浮かび上がらせていく役割を持っていました。
村は男爵を頂点とし、家令・神父・医者がおり、
その下で小作人達が働く封建社会であり、
厳格なキリスト教の教えを守って暮らしています。
先ほどの鞭打ちは、子供の帰りがちょっと遅くなって
その理由を言わない事への躾・罰なんですよね。
そして純粋無垢な事を忘れないようにと子供に白いリボンを着ける。
必要以上の厳しさに見えるんだけど・・・(@_@;)
この前観た「リトル・ランボーズ」にも変わった宗教が出てきたけど、
行き過ぎた抑圧は、反抗心や不満を生むだけでした。
男爵夫人の言うように、この村にあるものは、
嫉妬・暴力・迫害・脅迫・復讐・・・
そんな隠された負を、子供達は冷ややかな目で見ている。
大人に服従しているけど、表情が暗く、何かを隠しているようです。
権力者や宗教による抑圧・・・しかも尊敬できないような者が
思い通りの秩序を作りたくて抑圧する。
抑圧された者は不満が鬱積し、はけ口を弱い者に向ける。
そのようにして悪意が人々の中にどんどん膨らんでいくのが不気味です。
ラストで第一次世界大戦が始まった事が分かります。
「当時の我が国そのもの」はここに繋がってくるのか・・・
大人の悪行を見て、そんな大人に抑圧された者の悪意が
ナチスの下地になったのかもしれないと充分に考えられますね。
この時代に限らずいつの時代でも、負の心がこんな風に
芽生える事は有り得るでしょう。不気味な映画でした。
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テーマ : 映画を見て、思ったこと
ジャンル : 映画