ぼくのエリ 200歳の少女
2011-03-05(Sat)
初恋物語とするには、甘酸っぱさや淡さは無かった。
これはとても胸が痛くなる物語・・・
あの凍てつく雪空がとても象徴的。

LAT DEN RATTE KOMMA IN
LET THE RIGHT ONE IN
監督:トーマス・アルフレッドソン
製作2008年 スウェーデン
出演:*カーラ・ヘーデブラント *リーナ・レアンデション *ペール・ラグナー
怖ろしくも、哀しく、美しい12歳の初恋すごく余韻が残って引きずられる映画でした。
少年少女?の話なのに、対照的な残酷さがあって、
その両極端がとても胸に突き刺さるんですよね・・・
オスカーは12歳の少年。
陰湿ないじめに遭い、それを親にも話せず、
たった一人で復讐を想像して孤独に生きている。
ある日彼は、人とは違う不思議なムードの少女エリと出会う。
ネタバレあります他のヴァンパイアものよりずっと、
エリのヴァンパイアぶりが
獣っぽいのよね~人に飛びついて血を吸う姿や、血のポリタンクを置き忘れた老人を
どなりつける声に、
人を殺めなければ生きていけない存在と言う
印象を強くしました。
彼女はオスカーの中にある孤独や殺意を感じて寄って来たのかな。彼女には、恋などと言う甘い感情が入る余地はないのかも。
常に生き延びる場所と方法を求め続けてきたし、
これからもずっとそうなんでしょう。
姿は少女でも、まさしく人の血で生きるヴァンパイアなんです。
オスカーはそんなエリに少しも恐怖心を抱く事なく、
仲良くできる少女が現れて、とにかくそれが嬉しかった。
彼は肌が透けるように白くて、ブリーフ姿も可愛い。
12歳にしては本当にまだ純粋な子供に見えるのよね。
第二次性徴とも無縁な様子で、エリと二人で寝ていても、
全くセクシャルなムードが不思議なほど感じられない。
小さな恋のメロディなんて言う可愛らしいものじゃなくて、
これは孤独な魂と孤独な魂の結び付きなんだなあ。
年齢や性別を超えた、生きていく者同士の結び付き。オスカーが死の淵に落とされた時、エリが救ってくれた。
エリの行為が無ければ、自分は死んでいた。
人を殺めなければ生きていけない事を身を持って知り、
エリというものを理解し、受け入れます。
ラストの列車でモールス信号を送るオスカーは、
ちょっと成長した感じかな。
束の間でも、2人が孤独から抜け出し、
幸せを感じている事を喜ぶべきなのか・・・(- -;)
たった12歳の子供が、自分の生き方を自分で決めて、
エリと自分の人生を背負っていくって事でしょう?オスカーがどこまで責任の重さを分かっているのか・・・
オスカーの行く末は、あの哀れな老人と同じになるんだよね。
そう思うと、2人の出発はなんとも切なく哀しい。
冷たい空気感そのままに、身を切られるような思いが残りました。
可愛い少年少女を映しているかと思えば、
ドキッとするほど残酷なシーンがあって、
全編すごく刺激的でしたね。
特に最後のプールのシーンは、子供の足が画面の左端を
チョコチョコっと走って行ったその後、
音も無くちぎれた頭と腕が投げ込まれるという、
驚くような演出で、とても衝撃を受けました。
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「モールス」
テーマ : 心に残る映画
ジャンル : 映画
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コメント
こんばんわ、YANさん!
待ってましたよ、YANさんのレビュー☆
何とも言えないムードでしたねー。
孤独で純粋無垢なオスカーと魅惑的なエリが対象的で。
変な(大袈裟な)効果音が無かった事とか、
残酷なシーンも間接的、あるいは遠まわしで映してあったので
全編通して透き通った雰囲気が出てましたね。
オスカーの未来は素直に喜んで良いのかわからないけど、
なんか二人を応援したくなっちゃった。
ハリウッドリメイク版の『LET ME IN』
予告観たんですが、だいぶ壊れてる気がします(^_^;
異色作品みたいですね~ぇ
ヴァンパイアもの好きなんで楽しみo(^-^)o
ミレニアムもこれもスウェーデン作品でハマってます!
ジョニデ来日したね~ぇ
ツーリストは観に行きますか?
やっと新ブログ作りましたよ
同じFC2です♪
まだ携帯も使い慣れなくて…大変だけどコツコツ頑張ります(^◇^)┛また遊びに来て下さいね
こんにちは!
やっと観ました! 期待通り、この作品良かったです!
冷たくて透き通った独特なムードがありましたね~
スウェーデンが舞台っていうの、ものすごく活かされてました。
グロさは無いんだけど、残酷さが伝わってくる演出も凄かったなあ。
エリの顔も、けっこう怖かった。
オスカーの未来、私はとっても不安です。
あの老人の哀しい姿を見ちゃったからね。
でも、もちろん2人の幸せが少しでも長く続いて欲しいなあ。
こんにちは!
これ、今までに無い感じのヴァンパイアもので良いよ!
そう言えば、ミレニアムもスウェーデンだったね。
期待していいです。★
ジョニー来日の様子はテレビで見ました。ファンサービスすごい!
ジョニーもアンジーも好きだけど、
なんか「ツーリスト」はそれ程 食指が動かないわ(^^;
「ナイト&デイ」みたいな感じ?とか思っちゃう。
それもまだ観てないけど(≧ε≦) 両方ともレンタルでいいかな。
おお新ブログがFC2とはすごい身近な感じ。
うれしい~~\(^▽^)/ 遊びに行きま~す!
こんばんは。
まったく、レビューの、そのとおり! ナイス!
ぼかしの件は、ちょっとネットで調べればわかるので、やってみてください。
北欧のムードが、すごく生きた映画でした。
ハリウッドリメイクも、わりと評判はいいようです。
YANさん、こんにちは!
>12歳にしては本当にまだ純粋な子供に見えるのよね。
第二次性徴とも無縁な様子で、エリと二人で寝ていても、
全くセクシャルなムードが不思議なほど感じられない。
そうなのよね~。最近の映画での12歳と、この映画での12歳は、ちょっと違って見えたわ。このオスカー君は、まだまだ子供っぽくて可愛くて・・。
ほんとにエリは、獣のような感じがしました・・。
私もこの映画、面白かったので、後から原作読んだんだけど、映画の方がずっと良く出来てたみたいです。
YANさん、こんにちは。
最初は、12歳の純愛映画かと思いました。
確かにそんな側面はありましたが、
生き抜くことの難しさ。
本能のままに求めて身を滅ぼすことは幸せなことなのか?
生きるには何かを犠牲にしなければならないことの残酷さ。
他に犠牲を強いて生きることは罪なのか?
なかなかに、深い作品でした。
確かにエリは、獣っぽかったですね。
倫理や道徳を超えなければ、生きられない存在なんでしょうね。
そして、プールのシーンは、確かに衝撃的。
見せ方の工夫でいくらでも映画は面白く魅せることが出来るという
よい見本のような気がしました。
それじゃ、また。
孤独な魂同士が話をしている感じがしますね。
生きる覚悟の強さは、誰よりもできている二人、というような気がします。
それだけに、彼らの行き先の壮絶さが、想像されますね。
甘い恋やエロチックさじゃないところが、すごい作品でした。
こんにちは!
そうね~私もこれは年間のベスト10の中に入れるかもしれない。
「ボカシ」については、調べてみたらビックリw(゚o゚)w
見直してみたけど、それでも一瞬だし分かり難いシーンでした。
原作を読まないと、真実に到達しないよね~
私もエリにあまり女性っぽさを感じなかったのは、そうだったんだ。
リメイクなんてしてほしくないけど、観てみたい(^_^)
こんにちは!
このオスカーは色も白くて身体も華奢で、小学生って感じだったよね。
そんな可愛い子が壮絶なイジメに遭って、
やっと心を許せる相手に出会って、大きな宿命を背負う・・・
なんとも胸にウッとくるような話でしたね。(;_;)
この映画の人物設定は原作と同じ感じなのかな?
エリの性別が話題になっているようだけど、
「獣」と思えば、どちらでもいいのかも。
2人共、性別を超えた部分で結び付いていた気がするし。
こんにちは!
私も、よくあるヴァンパイアものと同じで、
禁断の恋、しかも少年少女の純愛を描いているかと侮っていました。
それがそれが、過酷な運命を背負って生きていく事を
(ヤンさんの方が詳しく書いてますよね、そのような様々な事です(^^;)
考えさせられるような、深いものがありました!
そんな残酷さ・過酷さを、
可愛らしい子供を通して描いているので、
より強く心にズ~ンと響いてきましたよ。
エリなんて可愛いのに獣に見えて怖い。
見せ方に工夫があって、映像の点でも面白かったですよね~★
こんにちは!
そうなんですよね、トン・ツーだけのモールス信号が、
これまた孤独な魂同士の会話って感じをよく出してました。
2人の行く末を考えると、何とも言えないですよね。
生きる覚悟はあっても、具体的に衣食住はどうするんだろうって
思っちゃう(←めっちゃ現実的(^^;)
ヴァンパイアものによくある甘さやエロチックさが無くて、
「生きる」という根本的なものがありましたね。
獣っぽいヴァンパイアぶりがリアルで…
ってまるで実在してる?と思わせてくれました。
でも、彼女は仲間を残さないためにとどめを…
それは自分の運命の切なさを感じてるから…なんでしょうね。
殺したと思う感情と実際に殺さなければ生きていけない…
それは似てるようで程遠い。でもプールで彼は一対だと感じたのかも?
ラストは続編の予感も感じさせず潔く何故かさわやかさすら感じました。
最新からコメントを入れ…過去をさかのぼって
読ませて頂きましたが、2度ほど名無しの権兵衛さんだったようですみません。
でも、何故?解ったのか?さすがです。
お気遣い、ありがとうございます。
こういうヴァンパイアの映画はあまり見た事ないよね。
生々しさが良かったです。
これまでの話だと、本能的に仲間を増やしていくけど、
こちらは本能的に増やさずに留めを刺してたね。
孤独は辛いのにね。でも増やしたところで運命が
過酷なのは同じ。ああ切ない~(;_;)
ラストのオスカーの表情は爽やかだったけど、
その後を考えると私には辛いです。
名前が無くても、どの人もコメントにすごく個性があるから、
たいてい分かりますよ。(^▽^)
文体とか記号を使うとか内容とかから、ほとんど判別出来ます。
ブログ訪問者欄に夢眠さんの名前があった事もあるけどね(^^;
今日はどうもいろいろコメントありがとう~★
この映画の内容って、オタク少女たちが嵌る内容だと思うのです。私も元オタク少女なので、嵌りました~(笑)オタク少女、または腐女子とも言うのでしたね。
だって、エリにあえて秘密を作ったところなんか狙っているなあと思ってしまうのですよ。
ハリウッドでもリメイクするんでしょ。楽しみです。
YANさん、こんにちは。
先日はコメントありがとうございました。
僕は皆さんほど感銘は受けませんでしたが
不死の者の苦悩や宿命にはやはり
シンミリしてしまいます
僕のお気に入りの作品「ハイランダー」を思い出しました。
こんにちは!
「腐女子」ってよく聞くけど意味を知らなくて、ネットで調べたら、
男性同士の恋愛を扱った小説や漫画を好む女性ってなってました。
確かに、このエリの秘密からすると、腐女子好みになるのかな?
でも、なんかkiriyさんの言う所のオタク少女とは違うような・・・??(^^;
私は、あまり性別の事は気になりませんでした。
それを超えた根源的な「生きる事」が、
この映画には描かれていたように思えたなあ。
リメイク作品は期待してないけど、結局観ると思います。(^_^)
こんにちは!
こちらこそコメントありがとうございます。
>不死の者の苦悩や宿命
それですよね、 可愛い少年少女の物語でありながら、
過酷な宿命が描かれてましたね。
孤独な者同士だから、より引かれ合ったんでしょうね。
「ハイランダー」は観てませんが、
そのような孤独や宿命を抱えてるんでしょうか。
YANさん
これ好きじゃなかった
もう暗すぎる・・・余韻残り過ぎ
どっかのヴァンパイアさんみたいに草食なのー
とか綺麗ごとで済まされんよね
いろんな観方があると思うけど
エリも純粋な気持ちでオスカーを好きならいいなとは思うけどねぇ
考えるだけで落ち込むのでヤメます
そろそろ草食の方レンタルしたいわ
こんにちは!
うんうん、すごく余韻が残るよね。かなり引きずる。
これまでのヴァンパイアものは、どこかお伽話みたいだけど、
これは生々しさ残酷さを突き付けてるでしょう。
「ハイランダー」もその辺り、どうか知らないけど(^^;
このぼくのエリは、新鮮味がありました。
確かに暗くなるね~
でもけっこう奥深くて、後からも味わえる作品だと思うなあ。
エリは純粋にオスカーの孤独を感じて、
純粋にこの子が必要だと思ったような・・・
もちろん好きでなければ一緒におれないから、好きなんだよね。
新作レンタル、なかなか出来ません(;_;)
はじめまして、「映画部族」というブログを最近はじめましたQuestと申します。
YANさんの的確な批評にはいつも感服しております。
私はリメイク『モールス』から先に鑑賞したのですが、オリジナルの方が神秘的で手取り足取り説明しないぶんだけ余韻の残る作品だったように思いました。
また、なぜか『崖の上のポニョ』を思い出してしまったのですが(笑)
5歳にしてポニョのすべてを受け入れると決意した宗介と、不老不死のヴァンパイアと共に生きることを決めたオスカーに、無邪気さと純粋さ、そして幾ばくかの悲劇性を感じるのは私が汚れた大人なのだからでしょうか・・・(笑)
これからもよろしくお願いします。
はじめまして、ようこそいらっしゃいました。
いつも・・って、今まで私の感想を読んでくださってたんですか?
それはどうもありがとうございます(^▽^)
「モールス」は誰からも解釈しやすい作品になっていましたね。
このオリジナルのほうが確かに神秘的で、後からいろいろ
考えられる様な含みを持たせてあったように思います。
ああ、ポニョもラストはそうでしたね!
アニメでポニョの人生を5歳の少年に背負わせるのって、違和感ありました(^^;
決してQuestさんが汚れているんじゃなくて(≧ε≦)、
宗介(しかも5歳)もオスカーもまともに考えると選択は重過ぎるし、
ましてや相手が人間じゃないとなると、
将来の生き難さは容易に想像できますよね。
私の方からもお邪魔させてもらいますね★
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ぼくのエリ 200歳の少女 / LAT DEN RATTE KOMMA IN
2008年 スウェーデン映画
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ぼくのエリ 200歳の少女 [DVD](2011/02/04)カーレ・ヘーデブラント、リーナ・レアンデション 他商品詳細を見る
2008 スウェーデ...
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