ハート・ロッカー
2010-09-28(Tue)
これまでとは違う戦場、これまでとは違う精神崩壊。
でも、戦争が不毛なのは同じ。

監督:キャスリン・ビグロー
製作:2008年 アメリカ
出演:*ジェレミー・レナー *アンソニー・マッキー *ブライアン・ジェラティ
*レイフ・ファインズ *ガイ・ピアース
永遠を思わせる戦場。刹那を生きる男たちーー。イラクの、 最前線を、 見て来た、 戦場 カメラマンの、YAN です。ふ~っ、自分も戦場を体感したかのような臨場感があって、
神経が張り詰め、身体が凝って、心身ともに疲れました・・・
「戦争での高揚感はときに激しい中毒となる。戦争は麻薬である」イラク駐留米軍の爆弾処理班の行動を、
ドキュメンタリー・タッチで描いた作品。
いきなり最初から爆発の瞬間を見せるんだもんね。
防爆服を着用していても死に至る恐怖を味わわされる。
いつ爆発するか分からない爆弾、
いつどこから攻撃してくるか分からないテロリスト。
危険に身を投じる任務は常に死と隣り合わせと言う事です。これまでの戦争映画だと、ミサイルや戦車が登場し、敵味方の攻防があり、
血しぶきが飛び散るものが多かったけど、本作は違います。
敵を攻撃するんじゃなくて、爆弾処理が任務です。扱うのは爆弾。その処理は最も死が身近にあるとされる任務。
こういう仕事があるとは知らなかったなあ。
ここで描かれるのも、危険極まりない、紛れもない戦場です。だけど、ジェームズは恐れを知らないのか、
ムチャなやり方で爆弾に近付き、無鉄砲な行動を取るんだよね・・・
チームを組むサンボーンとエルドリッジは不安にかられます。
ジェームズのシーンは、彼が楽々と仕事をこなすので、
割と緊張せずに見られました。
だけど、どうしてこの人はこんなに無謀なんだろうと不思議でした。
後になって分かるんだけど、彼も一種の戦争による心の病に
蝕まれていたんですね。最初のテロップが意味するもの・・・そう言う事かと理解できました。
あれだけの過酷さが日常なんだから、誰でもおかしくなりますよ。
エルドリッジはカウンセラーを受けていて、
明らかに病んでいるのが分かります。
サンボーンは冷静な兵士だけれども、
死の恐怖に怯え涙ぐむシーンもあって、
やっぱり精神的に追い詰められています。
彼らのような状態は、これまでの映画でも描かれていて、
見ていてこちらも辛くなるんですよね。
ジェームズの場合は、少し違って、
極限状態でのスリルや、爆弾を処理した後の高揚感に
魅せられているというもの。平和な世界では虚無感を感じ、
常に緊張が続く戦場でしか生きる実感を得られない。
なんて事でしょうね・・・中毒の行きつく先は死だと言うのに。
彼も戦争の犠牲者ですよね。
だから、人間は、国は、戦争を止められないのかも。
暗澹たる気持ちになりました。
これまでの戦争映画とは異なった角度から
戦場のリアルさを切り取って、その不毛を見せていましたね。反戦を強烈にうたっているわけじゃないけど、
戦争否定の精神が根底にあるのがよく伝わって来ました。#2009年アカデミー賞 作品賞・監督賞・脚本賞・音響賞・編集賞 受賞
テーマ : アメリカ映画
ジャンル : 映画
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コメント
こんばんわ、YANさん!
いいな~、ご覧になったのですね~。
毎日通ってるけど一本も空いてないんですよ~(T_T)
なぜだか よく わからない の ですが
アカデミー賞作品なのにね、5本しか置いてないの。
アクション要素満載かと思いましたがドラマ性部分の強い反戦映画かな~。
どちらにしろ鑑賞が楽しみであります!
根気よく通ってGETします~(^^ゞ
YANさんこんばんは
この作品は反戦ともとれるしアメリカ擁護にもとれるし
そんなメッセージを考えずに、アクション?スリラー?ジャンルで楽しめば面白いですよね
わたくし、大変気に入りました
劇場でみたかったかもー
今日も変わった戦争映画みました(後日アップします)
もうドンパチみててもフィクションとしか思えなくなってるので
こういう見せ方の方が、戦争を深く考えられます
戦争にかかわれば、死ななくても何かを確実に失くすんですよね
不毛。まさにそれですよね。
>中毒の行きつく先は死だと言うのに。
そうなんですよね・・・
この先どこまでいっても彼が心休まる時はこないのかと思うと
哀しくてやりきれない気持ちになりますね・・・
夫をそんな人間に変えられてしまった妻(&子)もまた被害者・・・
こんにちは!
それは、 残念、 です ね。(^_^)
こちらでもレンタル開始になってからはずっと貸し出し中でしたよ。
やっとレンタルできたんです!
やっぱりアカデミー賞を獲っただけあって人気だね~
8本置いてあって、今は2本くらい残ってます。借りに来る?(≧ε≦)
ハデなアクションはあまりないですよ。
動より静の映画です。
動かずにジリジリ待つところが、また息が詰まる~
こんにちは!
アクションとかスリラーとして単純に見てもいいけど、
リアルさがこの映画に重みを与えて面白くしてると思うんだよね~
となると、作り手があえてメッセージを込めなくても、
リアルさから自然に伝わってくるから、どうしても考えちゃう。
戦争映画と言えば、ドンパチは付き物だと思ってたのに、
こういう新しいやり方で見せられると、また深く突き刺さるよね。
戦争で儲けてる人だけが私腹を肥やして、
あとは誰もが失ってる。何一つ良い事なんてない!
あまりに若い子たちには、戦争ってピンと来ないかもしれないね。
でも今でも世界のどこかで起きている事なんだから、
こういう映画を観ておくといいと思うな。
どんな理由があるにせよ、戦争って不毛でしかないよね。
ジェームズの場合は複雑で、戦争の中毒になってるから、
緊迫感や危機感でアドレナリンが出るわけでしょう?
あんな不毛な戦場でしか生きがいを感じられない事が
哀しくてやりきれない気持ちです。
家族も本当に気の毒。戦争の被害者だよね。。。
こめとら、ありがとうございます。
ほんとに心臓に悪かった。どきどきしっぱなしですから。
主役だからといって、爆発しないとは限らないし。
スターが出ていないのもリアルを狙っていますね。
スリルを求める人間というのは、いるもので、それが変な方向に行くと困ります。
ドンパチな戦争ではない面から迫った、記憶に残る一作ですね。
あの緊迫感・・・
思い出しただけでも、ぞっとします。
映画館で見たのですが、非常に疲れました。
そして、戦争について、深く考えることができました。
YANさん、こんにちは!
最初の文章って、渡部陽一さん風ですか?
あの人面白いですよね。(笑)
立場の違いはあれど、同じように過酷な戦場を切り抜けた人とは
思えないくらい、ジェームズと渡部さんの雰囲気って違いますよね。
でも、もしかしたら渡部さんも戦場ではジェームズみたいなのかも?
そう考えたら怖いなー。この映画を観ていると、戦争(戦場)って
人を人ではなくしてしまうような恐ろしさがあると改めて思いました。
爆弾処理をやりたくないと言っても、
ボーさんには町内会を代表して来月やってもらいますからね。(≧ε≦)
爆弾が出てくるたびにドキドキしましたよ。
有名俳優でも無名俳優でも結末は関係なかったですね。
現場の状況は過酷なので、やっぱり見ていて疲れた~
スリルを求めても仕事をキッチリやっている事を評価すればいいのかもしれないけど、
仲間や周囲を危険に巻き込むのは困るし、家族は絶対に不幸ですよね・・・
見せ方が上手くて、緊迫感がすごくありましたよね。
でも、ジェームズのシーンだけは、
『この人死なないだろうな』って思って、ちょっと安心してました。(^^;
それでも生死の狭間を行く恐怖がやっぱりすごかったです。
戦争を無くしたいって、誰もが思いますよね・・・
さすがCDさん! 分かってますね~\(^▽^)/
渡部陽一さんの語り口を真似てみました(この手の映画でふざけるなって?(≧ε≦))
あの人って何に対しても、いつも真剣で真面目ですよね。
きっとテレビ出演の依頼を断れずに、全部引き受けてるんじゃないかな。
マスコミなんて、もてはやすだけもてはやして、ポイと捨てるんだから、
早いうちに戦場に行ったほうがいいと思って心配してます(^^;。
今なら、渡部さんの写真を皆が関心を持って見るから。戦場に行きなはれ~
ジェームズとはまるで違うタイプに見えるけどどうでしょうね?
2人とも同じような事を言ってましたよ。
仕事をする上で大事な事・・・「死なない事」って。
ジェームズは、その割には無鉄砲だし、「どうせ死ぬなら気持ち良く」とか
言うし、やっぱり感覚が多少麻痺してるのかな。
でもCDさんの言うように、人を救いたいと思う純粋な気持ちも持ってると思います。
爆弾処理など戦場での仕事の能力に長けていて、
自分だから戦場でやれるんだという気負いもある人なんでしょうね。
中毒の高揚感だけでは、あそこまで命を懸けられないと思います。
リアルな迫力があり、じりじりしてるので、
観終わって疲れた、というのを感じる映画でした。
主人公に関しては、観てる間、あまりよくわからなくて、
主人公が、ずんずんと、向こうへ歩いていく姿に、あっけにとられました。
もう、どうしたら、いいのか、わからない感じでしたね。
そうまでなってしまう戦場の恐ろしさを感じます。
私もこの作品は観終わった後に疲労感がありました。
女性監督が撮ったのに とても骨太な男らしい作品になっていて、
力でぐいぐい押してくるもんね~
印象に残ったけど、好き嫌いの感情はあまり湧いてこなかったです。
主人公は自分自身でも「何で俺はこうなんだ。分からない」って
言ってましたから(^▽^;)
戦場に対して、他の皆とは違うものを感じている自覚があったようですね。
他の人達とは違う向こうへずんずん歩いていってしまう、
それが戦争がもたらした心の病とすると、恐ろしいです。
YANさん、こんばんわ。
少年の残酷な死に心を痛めたと思ったら、
実は、少年は生きていて、
犠牲になったのは別な少年だったり、
悪い奴を追いかけたつもりが民家に乱入したりと、
なんとなく、アメリカの外交を皮肉っているような感じも
しましたが、戦争が求める格好な人材とは、
あのような男ではないかと思いました。
彼のような男が100人いれば、爆弾処理にも頭を痛めず、
戦争も、もっとスムーズに運営できるとか、、
あまり考えたくはありませんが、(^.^;)
それじゃ、また。
こんにちは!
日本の外交もチグハグで情けない状況ですが・・・(^^;
イラクに大量破壊兵器があると言って、乗り込んだアメリカだけど、
実際にそのような兵器はなかったんですよね。
大義なき戦争と言われたこのイラク戦争、
誰のために何のために彼らは戦っているのか、
そんな事を思わせる皮肉がありましたね。
ジェームズは戦争が生み出した特異な兵士と言う事でしょうか。
もし彼がFBIに所属していたら、
怖いもの知らずの素晴らしい捜査官という話で納まるところなのに。
戦場が活躍の舞台では、虚しいばかりですよね。
ブログアップさぼってます(^_^;)これがアバターを抑えて受賞した作品なんですね!
オープニングの爆発シーンはガイ・ピアーズだったなんて意外と有名俳優がチョイ役で出てたからビックリ~(すぐ死んじゃうけど)
ビグロー監督は女性なのに骨太な作品ばかりで力強い!
アバターの特別版も観に行きますか?カットされた映像をプラスしての再上映
スター・ウォーズ全6作が3D化されるとか(☆o☆)
日本人は戦地へ行く事はなくて国の為に極限状態の勤務はない平和ボケしてるのかも…。友好な外交って難しい(Θ_Θ)
映画を観ても、すぐにアップできないよね~
「アバター」とは全く違う土俵にある作品なので、比較し辛い(^^;
アカデミー賞となると娯楽作品よりシリアスな社会派作品が良いんでしょうね。
重みが違うもんね。でも楽しめるのは断然「アバター」のほう。
特別編があるなんて初耳!森子さんってほんと情報通だわ~!
アバター好きだけど、あまり長くなるのはうれしくない・・・(^^;
スター・ウォーズは6回も観に行かなくちゃいけないのか?
そうそう、ガイ・ピアースもレイフ・ファインズもチョイ役だった。
うん、日本人にはこんな極限状態は絶対に想像がつきません。
不況だ何だかんだ言っても、平和だよね~
劇場で観たので音響が凄かったです。
臨場感がありましたね。
戦争を経験した者だけが知る高揚感。
だから戦争をやめられない。
麻薬に例えた言葉が印象に残りました。
こんにちは!
爆破シーンが多かったので、その音響が凄かったでしょうね~
撮り方も息づかいが感じられるくらい、すごく臨場感がありました。
戦争をやめられないような中毒症状って、とんでもないですよね。
もう考えただけで暗澹たる気持ちになります。
戦争なんて一つも良い事がないですよね。
YANさん、こんにちは!
>イラクの、 最前線を、 見て来た、 戦場 カメラマンの、
爆笑!!
今ちょうど渡辺さんがTVに出ているところです。
毎日どこかの番組に出ている、今年一番の売れっ子ですよね。面白いし、でも本当は熱い心を持った立派な人だし、大好きです。
で、この映画。
ホントに疲れました・・・。ドキドキハラハラ、いつ爆発するんだろう・・・と常に神経が張りつめていて・・・。
劇場で見たら、どんだけ凄かっただろうか・・・と思います。もう一回は見たくは無いかも・・・。
こんにちは!
戦場を見たら、渡部さんを思い出しましたよ(≧ε≦)
テンポの早い今のテレビ界において、あのスロー口調は珍しい(≧▽≦)
熱い心や真面目な姿勢で好感度高いと思うわ。
latifaさんもファンなんですね☆
これは疲れる映画でした~
それがきっと本物の戦場なんでしょうね。
こういう仕事をしている人が今もどこかにいるんですよね・・・
映画だけで神経がまいるんだから、
戦争で精神的におかしくなっても不思議はないです。
YANさん、コメントありがとうございました。
渡部さんの佇まいを見ているだけで何だか和んでしまいますが
本人はきっと信じられない光景をたくさん見てきたんだろうな・・・・・
だから、お笑い芸人にいじられてるのを見ると何だか申し訳ないというかいたたまれなくなってしまう・・・・・
僕はそれほど思うことが少なくて、薄いレビューを書いてしまいましたが、最前線の兵士は頑張ってるんだというメッセージは良かったです。
戦争への介入とか問題はあったろうけど、その批判を帰還兵などに向けたら、きりがなくなっちゃうし不毛です。最初のほうのランボーがまさにそれでしたしね。
ジェレミー・レナーは「ザ・タウン」にも出てます。
これから上映する新作でこれが一番見たい!
こちらこそ、コメントありがとうございます。
渡部さんはテレビでお金を稼いで、
それを戦場に行く資金にしてるんですってね。
お金を稼ぐにはテレビは手っ取り早い方法だし、
名前を売っておけば戦場の写真にも興味を持ってもらえるし、
誰も損してないからいいんじゃないかなあ。
去年はもう少し仕事を選んだほうがいいかもしれないと思ったけど、
今はその反動で去年よりは減ってるから、丁度いいのでは?(^^;
最前線の兵士はとにかく命懸けで大変ですよね。
精神崩壊など心の病にかかっても不思議はないです。
本作では新しい形の心の病を知って愕然としました。
「ザ・タウン」については全く知りません。
そのうち宣伝するだろうから注意してますねー☆
それにしても物凄い緊張感でしたね
一時帰国したときのスーパーマーケットでの描写との違いが物凄い。
一種のドランカー化したジェレミー・レナーが危険地帯を無謀にドンドン進んでいくので、ついていくのにもドキハラでした
いつ、どこで、誰が、起爆装置をもっているのか、爆弾をもっているのかわからない、
常に周囲が敵という緊張感のなか、行われる作業がまた危ないんですもん、怖い怖い
>戦場のリアルさを切り取って、その不毛を見せていましたね。
ほんと、不毛な争いがなくなればいいですね…
こんにちは!
ハデな銃撃戦は無いのに、緊張感が凄かったですよね。
こういう戦争の描き方も、また新しくて良かったです。
あの緊張感に常にさらされていると、
精神がおかしくなるのも当たり前でしょうね。
先日、オバマ大統領がイラク戦争の終結を宣言したけど、
本当にキッチリ終わったと思っていいのか、
帰還兵の問題もまた出てくるだろうし、愚かな人間が始めた
戦争の闇はどこまでも続くと、しみじみ思います。
もう強烈 映画と思えない
凄い映画でした、まだまだ観ていたいとも思った
だって、一つ一つの爆弾処理がパターン違うし
緊迫感あるし、悪...
この緊張感の持続は、あまり経験したことがないくらい。もう勘弁してよって言いたいほど。すごく、いい意味ですよ。
第82回アカデミー賞で、
6冠(作品賞、監督賞、脚本賞、編集賞、音響編集賞、録音賞)に輝やきました。
監督さんは、「ハートブルー」「K-19」...
戦争というものを誰よりも良く理解している男。
そして、戦争というものを達観している男。
その男の行いは、他の兵士たちにとっては無...
Comment:
爆弾処理班の生と死の戦い。
元夫ジェームズ・キャメロン監督の「アバター」をおさえ、アカデミー賞作品賞を含む6部門を受賞した...
両方とも、アカデミー賞などを受賞した戦争映画。2つとも夏に家で見ました。
おそれながら・・・私は、両方とも、それほど・・・。特に好きとか、、ガツンと来る映画ではありませんでした。
ハート・ロッカー / THE HURT LOCKER
2008年 アメリカ映画
監督・製作: キャスリン・ビグロー
製作:マーク・ボール ニコラス・シャルティエ グレッグ・シャピロ
脚本:マーク・ボール ...