告発のとき
2010-07-20(Tue)
この問題には答がないし終わりもない。
もうどうにもならない・・・やり切れない。
トミー・リー・ジョーンズの抑制の効いた表情が何とも言えない。

監督:ポール・ハギス
製作:2007年 アメリカ
出演:*トミー・リー・ジョーンズ *シャーリーズ・セロン
*スーザン・サランドン *ジョナサン・タッカー *ジェイソン・パトリック
アメリカが目を背けた衝撃作
ハンク(トミー・リー・ジョーンズ)はイラクから帰還した息子マイクが
行方不明であるとの連絡を受けた。
元軍警察の軍曹であったハンクは、自ら息子の捜索に乗り出す。
しかし直後に、息子は遺体で発見される事となり、
ハンクは鋭い洞察力で事件を追って行く・・・
ネタバレあります
妻と2人で遺体に対面するシーンは泣けたなあ。。。
我が子がああいう姿にされるなんて、たまらんよね。
ひょっとしてマイクは軍の機密を知ってしまって、
殺されたんだろうか・・・なんて考えながら観ていくと、
最後には淡々と真実が語られ、ものすごくやり切れなさが残りました。
戦争体験によるPTSDを扱った映画は今までにもあったけど、
最初からストレートに、戦場や病んだ兵士を見せるんじゃなくて、
事件を追い、「どうして彼は殺されたのか?」という疑問の先に
異常事態があったと明かされる作りは、よく出来てますね。
これ、実話を基に作られた映画と知って、
気が重くなったし、こういう事もあるだろうなあとも思いました。
戦場なんかにいたら、精神が崩壊しても不思議はない。
戦場から帰ってきても続くし周囲にも影響を及ぼす。
でも、最初は誰でも、国の為に仕える事に誇りを持って
戦地へ行ったんでしょうね。
原題の「エラの谷」とは少年ダビデが巨人ゴリアテを倒した谷ですが、
今でも国の為に谷へ下りて戦いに行く兵士は何万といます。
だけど、少年ダビデのように自分の中の恐怖を振り払い
打ち勝つ者は少なくなってきているんでしょう。
ハンク自身は恐怖に打ち勝った人間なので、
最初はなかなか兵士の現状を理解できなかったようです。
息子はSOSを父に発していたんですね。
それに気付いてやれなかった負い目があるので、
ものすごく自分の感情を抑制して、
一つ一つを明らかにしようと努めるんですよね・・・
トミー・リー・ジョーンズの深い皺に苦悩が浮かび上がって、
その姿がなんとも痛々しい。
犯人が淡々と語る真相に、内心どれだけの苦しみと
怒りがあった事か。
切断した後にお腹がすいてチキンを食べに行ったなんて、
異常と言う事の証で出てくるんだけど、
もう腹わたが煮えくり返る思いだっただろうなあ。
爆発しそうになる感情を押し殺したのは、
『自分と同じ道を歩かせたせいかもしれない』と言う
後悔があったせいだし、
戦場の悲惨さはよく知っているからでしょうね。
最後に息子から送られた古い国旗を上下逆さまに掲げる父。
それは国際的な救難信号の意味。
「困っている。助けに来てくれ。もうどうにもならない」
静かな心の叫びが聞こえました。
もうどうにもならない・・・やり切れない。
トミー・リー・ジョーンズの抑制の効いた表情が何とも言えない。

監督:ポール・ハギス
製作:2007年 アメリカ
出演:*トミー・リー・ジョーンズ *シャーリーズ・セロン
*スーザン・サランドン *ジョナサン・タッカー *ジェイソン・パトリック
アメリカが目を背けた衝撃作
ハンク(トミー・リー・ジョーンズ)はイラクから帰還した息子マイクが
行方不明であるとの連絡を受けた。
元軍警察の軍曹であったハンクは、自ら息子の捜索に乗り出す。
しかし直後に、息子は遺体で発見される事となり、
ハンクは鋭い洞察力で事件を追って行く・・・
ネタバレあります
妻と2人で遺体に対面するシーンは泣けたなあ。。。
我が子がああいう姿にされるなんて、たまらんよね。
ひょっとしてマイクは軍の機密を知ってしまって、
殺されたんだろうか・・・なんて考えながら観ていくと、
最後には淡々と真実が語られ、ものすごくやり切れなさが残りました。
戦争体験によるPTSDを扱った映画は今までにもあったけど、
最初からストレートに、戦場や病んだ兵士を見せるんじゃなくて、
事件を追い、「どうして彼は殺されたのか?」という疑問の先に
異常事態があったと明かされる作りは、よく出来てますね。
これ、実話を基に作られた映画と知って、
気が重くなったし、こういう事もあるだろうなあとも思いました。
戦場なんかにいたら、精神が崩壊しても不思議はない。
戦場から帰ってきても続くし周囲にも影響を及ぼす。
でも、最初は誰でも、国の為に仕える事に誇りを持って
戦地へ行ったんでしょうね。
原題の「エラの谷」とは少年ダビデが巨人ゴリアテを倒した谷ですが、
今でも国の為に谷へ下りて戦いに行く兵士は何万といます。
だけど、少年ダビデのように自分の中の恐怖を振り払い
打ち勝つ者は少なくなってきているんでしょう。
ハンク自身は恐怖に打ち勝った人間なので、
最初はなかなか兵士の現状を理解できなかったようです。
息子はSOSを父に発していたんですね。
それに気付いてやれなかった負い目があるので、
ものすごく自分の感情を抑制して、
一つ一つを明らかにしようと努めるんですよね・・・
トミー・リー・ジョーンズの深い皺に苦悩が浮かび上がって、
その姿がなんとも痛々しい。
犯人が淡々と語る真相に、内心どれだけの苦しみと
怒りがあった事か。
切断した後にお腹がすいてチキンを食べに行ったなんて、
異常と言う事の証で出てくるんだけど、
もう腹わたが煮えくり返る思いだっただろうなあ。
爆発しそうになる感情を押し殺したのは、
『自分と同じ道を歩かせたせいかもしれない』と言う
後悔があったせいだし、
戦場の悲惨さはよく知っているからでしょうね。
最後に息子から送られた古い国旗を上下逆さまに掲げる父。
それは国際的な救難信号の意味。
「困っている。助けに来てくれ。もうどうにもならない」
静かな心の叫びが聞こえました。