空気人形
2010-05-18(Tue)
これもすごく良かったな~~☆
空っぽの人形が心を持ってしまうというファンタジーが、
対照的に人間の空虚さをあぶり出します。
深い余韻が残る切ない作品だわ~ これ好きだな~★

監督:是枝裕和
製作:2009年 日本
出演:*ペ・ドゥナ *ARATA *板尾創路 *岩松了 *オダギリ・ジョー
私は「心」を持ってしまいました。
持ってはいけない「心」を持ってしまいました。
透明感のある素晴らしい世界になっているのは、
ペ・ドゥナさんの好演によるところが大きいと思います。
長い手足と美しいボディという外見は、たぐい稀でしょう。
それを惜しみ無く大胆に見せる女優魂には、敬意を表したい!
人形になり切ったぎこちない動きや純粋な表情がすごく可愛いらしかった。
それに日本語も上手くて感心したなあ。
外国人じゃなくて、人形らしく話しているとしか思えませんでした。
空気人形というのは「性欲処理の代用品」なので、
ゲッとびっくりするくらい生々しいシーンがあります。
家族一緒に観るのには、相応しくないから、そこは御注意を(^^;
ネタバレ多少あるかも
空気人形と同じで、今時の人間は空っぽだったりします。
登場人物も、空虚で孤独に生きている人ばかり。
人と上手く関われない者、関わりを拒否している者、
自分の代わりはいくらでもいる代用品と思っている者。
誰かと居ても孤独を感じている者。
現代の人間の屈折や虚しさが浮き彫りになってきます。
心を持った空気人形は、目にする全てのものが美しく輝いて見え、
感動を知り、恋も知り、一方で切なさや悲しみも知ります。
好きになった人純一(ARATA)の前で空気が抜けた時、
彼が息を吹き込んで膨らませてくれますが、
そこがものすごくエロティックなシーンになっているのが
面白い~!
好きな人の息で満たされて幸せを感じる空気人形。
人との関わりの中で豊かになっていくんだけれど、
人間は自己本位や不器用だったりで、
他者との関わりが上手くできないんだよね。。。
作品中に吉野弘の「生命は」という奥の深い詩が読み上げられます。
これがまた良くて、一部抜粋しますね。中略あります。
生命は、
自分自身だけでは完結できないようにつくられているらしい
花も めしべとおしべが揃っているだけでは不充分で
虫や風が訪れて めしべやおしべを仲立ちする
生命は その中に欠如を抱き
それを他者から満たしてもらうのだ ・・・
しかし互いに欠如を満たすなどとは知りもせず知らされもせず
ばらまかれている者同士 無関心でいられる間柄
・・・・
私もあるとき誰かのための虻だったろう
あなたもあるとき私のための風だったかもしれない
生命は自分1人だけで生きているという事はなくて、
どこかで他者と補い合い影響を与え合っているもの。
この詩はラストにもまた重なっています。
しかし、空気人形に愛情を持ったと思った純一だけど、
あんな事を言い出すとは、人形として興味を持っただけだったのか?
最後にはホラーのような燃えるゴミになっちゃって、
そこだけ色合いが違うようで、なんか残念だったなあ・・・
オダギリ・ジョーの「おかえり」は自然で最高でした!
彼女を心ある者として一番理解してくれていましたね。
「君の見た世界に美しいキレイなものもあったかな?」に
対する答には、ホッとさせられました。
そう、心を持つって事は感動できるって事なんですよね。
ほんの些細な日常の出来事も本当は素晴らしい。
悲しみ切なさも含め感情を揺さぶられるって事は心があるからこそ。
ラストに空気人形の息で飛ばしたタンポポの種が、
みんなのところに行って、何かしら変化をもたらします。
まるで、誰かのための虻であり風であるかのように。
「生命とは」「心を持つとは」 そんな事にまで及んでいるような
深い味わいを残す、異色のファンタジーでした。
空っぽの人形が心を持ってしまうというファンタジーが、
対照的に人間の空虚さをあぶり出します。
深い余韻が残る切ない作品だわ~ これ好きだな~★

監督:是枝裕和
製作:2009年 日本
出演:*ペ・ドゥナ *ARATA *板尾創路 *岩松了 *オダギリ・ジョー
私は「心」を持ってしまいました。
持ってはいけない「心」を持ってしまいました。
透明感のある素晴らしい世界になっているのは、
ペ・ドゥナさんの好演によるところが大きいと思います。
長い手足と美しいボディという外見は、たぐい稀でしょう。
それを惜しみ無く大胆に見せる女優魂には、敬意を表したい!
人形になり切ったぎこちない動きや純粋な表情がすごく可愛いらしかった。
それに日本語も上手くて感心したなあ。
外国人じゃなくて、人形らしく話しているとしか思えませんでした。
空気人形というのは「性欲処理の代用品」なので、
ゲッとびっくりするくらい生々しいシーンがあります。
家族一緒に観るのには、相応しくないから、そこは御注意を(^^;
ネタバレ多少あるかも
空気人形と同じで、今時の人間は空っぽだったりします。
登場人物も、空虚で孤独に生きている人ばかり。
人と上手く関われない者、関わりを拒否している者、
自分の代わりはいくらでもいる代用品と思っている者。
誰かと居ても孤独を感じている者。
現代の人間の屈折や虚しさが浮き彫りになってきます。
心を持った空気人形は、目にする全てのものが美しく輝いて見え、
感動を知り、恋も知り、一方で切なさや悲しみも知ります。
好きになった人純一(ARATA)の前で空気が抜けた時、
彼が息を吹き込んで膨らませてくれますが、
そこがものすごくエロティックなシーンになっているのが
面白い~!
好きな人の息で満たされて幸せを感じる空気人形。
人との関わりの中で豊かになっていくんだけれど、
人間は自己本位や不器用だったりで、
他者との関わりが上手くできないんだよね。。。
作品中に吉野弘の「生命は」という奥の深い詩が読み上げられます。
これがまた良くて、一部抜粋しますね。中略あります。
生命は、
自分自身だけでは完結できないようにつくられているらしい
花も めしべとおしべが揃っているだけでは不充分で
虫や風が訪れて めしべやおしべを仲立ちする
生命は その中に欠如を抱き
それを他者から満たしてもらうのだ ・・・
しかし互いに欠如を満たすなどとは知りもせず知らされもせず
ばらまかれている者同士 無関心でいられる間柄
・・・・
私もあるとき誰かのための虻だったろう
あなたもあるとき私のための風だったかもしれない
生命は自分1人だけで生きているという事はなくて、
どこかで他者と補い合い影響を与え合っているもの。
この詩はラストにもまた重なっています。
しかし、空気人形に愛情を持ったと思った純一だけど、
あんな事を言い出すとは、人形として興味を持っただけだったのか?
最後にはホラーのような燃えるゴミになっちゃって、
そこだけ色合いが違うようで、なんか残念だったなあ・・・
オダギリ・ジョーの「おかえり」は自然で最高でした!
彼女を心ある者として一番理解してくれていましたね。
「君の見た世界に美しいキレイなものもあったかな?」に
対する答には、ホッとさせられました。
そう、心を持つって事は感動できるって事なんですよね。
ほんの些細な日常の出来事も本当は素晴らしい。
悲しみ切なさも含め感情を揺さぶられるって事は心があるからこそ。
ラストに空気人形の息で飛ばしたタンポポの種が、
みんなのところに行って、何かしら変化をもたらします。
まるで、誰かのための虻であり風であるかのように。
「生命とは」「心を持つとは」 そんな事にまで及んでいるような
深い味わいを残す、異色のファンタジーでした。