つぐない
2010-04-29(Thu)
少女のやった事は許されるものじゃないと思いつつ観てましたが、
予想していたのと違ったラストでズシンと衝撃を受け、
しばらく呆然として考え込んでしまいました。

監督:ジョー・ライト
製作:2007年 イギリス
原作:イアン・マキューアン「贖罪」
出演::キーラ・ナイトレイ *ジェームズ・マカヴォイ *シアーシャ・ローナン
一生をかけて償わなければならない罪があった。
命をかけて信じあう恋人たちがいた。
13才の少女ブライオニー(シアーシャ・ローナン)は多感な少女。
庭で暴行事件が起きた時、
過ちによりロビー(ジェームズ・マカヴォイ)に犯人の汚名を着せ、
姉との仲を引き裂いてしまう。
その事は恋人たちに途方もない悲劇をもたらし、
少女は自分の犯した罪の大きさにおののき、
一生を懸けて償おうとする・・・
完全ネタバレあります
「過ち」としたのは、意識的な嘘とするには気の毒な気がするから。
その日一日のうちにタイミング悪く、
ロビーのおかしな行動を3度も目にします。
それは、ロビーを嫌悪するに充分足りる出来事だったでしょう。
「恋はステキ。でも分別も大切」をテーマとした戯曲を
書くような潔癖な少女なんですよ。
性的な匂いのするものは少女にとっては理解しがたく、
汚らわしいものだったはず。
ロビーの卑猥な手紙はロビーに責任があったと言えるしね。
噴水と図書室での出来事は、ブライオニーの視点でまず見せて、
その後別の角度からの視点で再生しています。
この面白い方法で、いかに彼女の主観が
誤解を生み出したかを示してるんですね。
この直後に暴行事件は起きた。
思い込みが入るのもムリはありません。
無意識のうちに悪意が働いていたかもしれないけど、
(彼女はロビーが好きだったからね)
その時点の彼女は気が動転してあくまで無意識だったのでは?
一番悪いのはローラとポールだ!
恐らく本人達は好意を持った何かドタバタになっていて、
ローラは相手がロビーでないとハッキリ分かっていたはず。
ブライオニーの家族達もロビーを助ける事なく、
下層の者だとの蔑視から罪をなすりつけた。
いろんな事が原因でロビーは汚名を着せられたんです。
ブライオニーひとりのせいじゃない。
その後さらに戦争が恋人たちを引き裂きました。
戦争がいかに悲惨かを長回しで見せる
ダンケルクのシーンは圧巻でしたね。
その間も2人は恋人への思いを支えに生き長らえ、
ブライオニーは大学に進学せず、看護師になって
贖罪の日々を送っていました。
戦地から戻って、ロビーとブライオニーが会うシーンで、
やたら強い口調で責め立てるロビーに違和感を感じたんだけど、
その違和感が何だったのか、衝撃のラストで分かりました。
老人になったブライオニーが書き上げた本は「贖罪」というタイトル。
償いのために本を書いたんだろうなあというのは、
予想通りでしたよ。
驚いたのは、これまで見てきた物語こそが、
本の内容そのものだったって事。
つまり、最初から全部。
タイプライターの音が曲のリズムを刻むのが印象的でしたが、
あれは、この本を書いていたという伏線でもあったんですね。
韻も脚色も付けず、実際に目にしてない出来事は
裏を取ったと言っています。
ここでちょっと頭が混乱してきた・・・
じゃあ、噴水前・図書室の出来事の別視点は、
客観的な事実ではなくて、姉セシーリアから聞いたもの?
ロビーが手紙をタイプするシーンはどうなの?
多少その辺りは想像も混じえているのかな?
事件を目撃するシーンはやはり曖昧なまま。
そこはブライオニーの記憶でしか書けないからでしょう。
とにかく、あの噴水の出来事からずっと振り返り、
長年かけて自分の罪と向き合おうとしてきたんですね~
ロビーの強い口調は、ブライオニーが
自分で自分を責めていたんだった。
こんなに辛い作業を何十年も・・・って思って、ここで愕然としました。・
ロビーがフランスへ行った後は、
本当は2度とセシーリアと会う事がなかったんですが、
本の中だけでも幸せな時間を、と
想像で2人の再会シーンを加えたと言います。
償いというのは、傷付けた相手が許してくれなければ
終わりません。
その相手がいなくなってしまい、本を書いたところで、
一生懸けても償えない事はブライオニーは承知しています。
前半ではセシーリアとロビーに完全に同情していたけど、
ラストへ来て、同じくらいブライオニーも苦しんでいたのが
伝わってきて、胸が苦しくてたまらなくなりました。
3人がなんと過酷な人生を歩んできた事か。
認知症になって記憶が消える事は、
ひょっとして救いなのかもしれません。
予想していたのと違ったラストでズシンと衝撃を受け、
しばらく呆然として考え込んでしまいました。

監督:ジョー・ライト
製作:2007年 イギリス
原作:イアン・マキューアン「贖罪」
出演::キーラ・ナイトレイ *ジェームズ・マカヴォイ *シアーシャ・ローナン
一生をかけて償わなければならない罪があった。
命をかけて信じあう恋人たちがいた。
13才の少女ブライオニー(シアーシャ・ローナン)は多感な少女。
庭で暴行事件が起きた時、
過ちによりロビー(ジェームズ・マカヴォイ)に犯人の汚名を着せ、
姉との仲を引き裂いてしまう。
その事は恋人たちに途方もない悲劇をもたらし、
少女は自分の犯した罪の大きさにおののき、
一生を懸けて償おうとする・・・
完全ネタバレあります
「過ち」としたのは、意識的な嘘とするには気の毒な気がするから。
その日一日のうちにタイミング悪く、
ロビーのおかしな行動を3度も目にします。
それは、ロビーを嫌悪するに充分足りる出来事だったでしょう。
「恋はステキ。でも分別も大切」をテーマとした戯曲を
書くような潔癖な少女なんですよ。
性的な匂いのするものは少女にとっては理解しがたく、
汚らわしいものだったはず。
ロビーの卑猥な手紙はロビーに責任があったと言えるしね。
噴水と図書室での出来事は、ブライオニーの視点でまず見せて、
その後別の角度からの視点で再生しています。
この面白い方法で、いかに彼女の主観が
誤解を生み出したかを示してるんですね。
この直後に暴行事件は起きた。
思い込みが入るのもムリはありません。
無意識のうちに悪意が働いていたかもしれないけど、
(彼女はロビーが好きだったからね)
その時点の彼女は気が動転してあくまで無意識だったのでは?
一番悪いのはローラとポールだ!
恐らく本人達は好意を持った何かドタバタになっていて、
ローラは相手がロビーでないとハッキリ分かっていたはず。
ブライオニーの家族達もロビーを助ける事なく、
下層の者だとの蔑視から罪をなすりつけた。
いろんな事が原因でロビーは汚名を着せられたんです。
ブライオニーひとりのせいじゃない。
その後さらに戦争が恋人たちを引き裂きました。
戦争がいかに悲惨かを長回しで見せる
ダンケルクのシーンは圧巻でしたね。
その間も2人は恋人への思いを支えに生き長らえ、
ブライオニーは大学に進学せず、看護師になって
贖罪の日々を送っていました。
戦地から戻って、ロビーとブライオニーが会うシーンで、
やたら強い口調で責め立てるロビーに違和感を感じたんだけど、
その違和感が何だったのか、衝撃のラストで分かりました。
老人になったブライオニーが書き上げた本は「贖罪」というタイトル。
償いのために本を書いたんだろうなあというのは、
予想通りでしたよ。
驚いたのは、これまで見てきた物語こそが、
本の内容そのものだったって事。
つまり、最初から全部。
タイプライターの音が曲のリズムを刻むのが印象的でしたが、
あれは、この本を書いていたという伏線でもあったんですね。
韻も脚色も付けず、実際に目にしてない出来事は
裏を取ったと言っています。
ここでちょっと頭が混乱してきた・・・
じゃあ、噴水前・図書室の出来事の別視点は、
客観的な事実ではなくて、姉セシーリアから聞いたもの?
ロビーが手紙をタイプするシーンはどうなの?
多少その辺りは想像も混じえているのかな?
事件を目撃するシーンはやはり曖昧なまま。
そこはブライオニーの記憶でしか書けないからでしょう。
とにかく、あの噴水の出来事からずっと振り返り、
長年かけて自分の罪と向き合おうとしてきたんですね~
ロビーの強い口調は、ブライオニーが
自分で自分を責めていたんだった。
こんなに辛い作業を何十年も・・・って思って、ここで愕然としました。・
ロビーがフランスへ行った後は、
本当は2度とセシーリアと会う事がなかったんですが、
本の中だけでも幸せな時間を、と
想像で2人の再会シーンを加えたと言います。
償いというのは、傷付けた相手が許してくれなければ
終わりません。
その相手がいなくなってしまい、本を書いたところで、
一生懸けても償えない事はブライオニーは承知しています。
前半ではセシーリアとロビーに完全に同情していたけど、
ラストへ来て、同じくらいブライオニーも苦しんでいたのが
伝わってきて、胸が苦しくてたまらなくなりました。
3人がなんと過酷な人生を歩んできた事か。
認知症になって記憶が消える事は、
ひょっとして救いなのかもしれません。