愛を読むひと
2010-02-11(Thu)
ある秘密と戦争が影を落とす、
半生にも及ぶ深い愛の物語。
これ、良かったですよ~

監督:スティーヴン・ダルドリー
製作:2008年 アメリカ・ドイツ
原作:ベルンハルト・シュリンク「朗読者」
出演:*ケイト・ウィンスレット *レイフ・ファインズ *デヴィッド・クロス *レナ・オリン
わずか1ページで終わった恋が、永遠の長編になるー
原作「朗読者」を読んだのは、もう7~8年前。
その時すでに本の帯に「映画化決定」と書いてありました。
「これ映画にもなるし短くてすぐ読めるからいいよ~」と
友達に勧めたものの、映画の話はなかなか聞こえてこなかった。
あれから数年、やっと映画作品になったんだなあという思いで観ました。
映画はマイケルの視点で描かれています。
少年期・青年期・壮年期の3つに分かれているんですが、
全く雰囲気の異なるシーンを見せられるので、初めての人は
こんな話になってゆくのかーと驚くんじゃないかな。
ネタバレあります
少年期、15歳のマイケル(デヴィッド・クロス)は、
20歳以上も年上のハンナ(ケイト・ウィンスレット)と出会い、
愛と性に目覚めます。
少年にとっては初めての体験ばかりで、
夢中になってのめり込んでしまうのは、ムリもないよね~
ハンナのほうは、どこか用心しているような所があって、
急に感情的になったりマイケルをはねつけたりします。
それでも「本を読んで」とせがみ、マイケルの朗読を聞いている間は
物語に素直に感動し心を開くのでした。
2人の愛の時間はとても濃密に描かれているけど、
これはたったひと夏の出来事。
ハンナは突然に姿を消してしまいます。
実は、この少年期にも伏線がいろいろあるんですよ。
その事に近付くと、戸惑ったり避けたりするケイトの細やかな
表情がとても秀逸なのに感動しました!
その後、大学の法科生となったマイケルは
傍聴した裁判で、偶然ハンナをみつける・・・
戦時中SSだったハンナは、ナチス強制収容所の
看守をしていた時の出来事で罪に問われていました。
ハンナは事実ではない責任を押し付けられるんですが、
どうしても隠しておきたい秘密のために、
止む無く無期懲役刑を受け入れます。
ハンナが囚人を呼んで本を朗読させていた話を聞き、
マイケルの身体に戦慄が走るシーンがいいんですよね。
裁判中、マイケルは彼女の秘密に気付きます。
その秘密は、自分の人生を懸けてまでも
隠しておきたいものなんだろうか・・って誰もが思うよね・・・
ハンナは知性があるだけに、その事に対する恥が
想像以上に大きかったんでしょうね。
彼女の人生は、それを隠すために
常に孤独を選択する事になりました。
SSになったのは、シーメンス工場での昇進が決まった後。
事務ではなく看守なら出来るだろうって事で決めたのでは?
特にナチスに協力したくて選んだわけじゃないでしょう。
与えられた仕事を言われた通りにやっただけ。
結果的にその責任感が非人道的だと裁かれるとは、
思ってもいなかったような様子でした。
マイケルの前から突然姿を消したのも、
車掌での真面目な勤務ぶりが認められ、
事務職に移される事になったため。
その秘密に触れられる事は自分の尊厳が崩れる事。
いつも恐れながらそして虚勢を張って生きてきたんですね。
その人生を思うと、悲しくて胸が苦しくなってきます。
マイケルは彼女の罪を軽くする事が出来るけど、
ハンナのプライドを守る事を選びました。
しかし、それ以降、
自分は彼女を救えなかったが、あれで良かったのかと、
自問し苦悩し続けます。
離婚後、一人になったマイケル(レイフ・ファインズ)は心の傷と向き合い、
数々の本を朗読しテープに吹き込むんですね。
この深い愛情には涙が溢れてきた~(;_:)
だけど、原作にこんな描写あったかな?と気になるシーンが・・・
ハンナから来た手紙をぞんざいに扱うシーンと、
出所間近のハンナに過去(看守時代)の事をどう思うか聞くシーン。
恐らく、学生時代、戦争でドイツが犯した事を学んだ映画の彼は、
ハンナよりも「ドイツ人の罪の意識」が強かったんじゃないだろうか?
愛情と同時に許せない気持ちもあったようですね。
ハンナは、彼がもう昔の「坊や」ではなく
すっかり大人になっている事や、
もう朗読者になってもらえない事を悟り、
ああいう決断を下したんでしょう。
観終わって、マイケルやハンナの気持ちに思いを巡らし、
とても切なくなってしまう作品です。
ひと夏の恋愛が、秘密や戦争が絡んで、
後の人生を変えるものとなった・・・
その2人の内面を丁寧に見せてくれました。
#2008年 アカデミー賞主演女優賞受賞
半生にも及ぶ深い愛の物語。
これ、良かったですよ~

監督:スティーヴン・ダルドリー
製作:2008年 アメリカ・ドイツ
原作:ベルンハルト・シュリンク「朗読者」
出演:*ケイト・ウィンスレット *レイフ・ファインズ *デヴィッド・クロス *レナ・オリン
わずか1ページで終わった恋が、永遠の長編になるー
原作「朗読者」を読んだのは、もう7~8年前。
その時すでに本の帯に「映画化決定」と書いてありました。
「これ映画にもなるし短くてすぐ読めるからいいよ~」と
友達に勧めたものの、映画の話はなかなか聞こえてこなかった。
あれから数年、やっと映画作品になったんだなあという思いで観ました。
映画はマイケルの視点で描かれています。
少年期・青年期・壮年期の3つに分かれているんですが、
全く雰囲気の異なるシーンを見せられるので、初めての人は
こんな話になってゆくのかーと驚くんじゃないかな。
ネタバレあります
少年期、15歳のマイケル(デヴィッド・クロス)は、
20歳以上も年上のハンナ(ケイト・ウィンスレット)と出会い、
愛と性に目覚めます。
少年にとっては初めての体験ばかりで、
夢中になってのめり込んでしまうのは、ムリもないよね~
ハンナのほうは、どこか用心しているような所があって、
急に感情的になったりマイケルをはねつけたりします。
それでも「本を読んで」とせがみ、マイケルの朗読を聞いている間は
物語に素直に感動し心を開くのでした。
2人の愛の時間はとても濃密に描かれているけど、
これはたったひと夏の出来事。
ハンナは突然に姿を消してしまいます。
実は、この少年期にも伏線がいろいろあるんですよ。
その事に近付くと、戸惑ったり避けたりするケイトの細やかな
表情がとても秀逸なのに感動しました!
その後、大学の法科生となったマイケルは
傍聴した裁判で、偶然ハンナをみつける・・・
戦時中SSだったハンナは、ナチス強制収容所の
看守をしていた時の出来事で罪に問われていました。
ハンナは事実ではない責任を押し付けられるんですが、
どうしても隠しておきたい秘密のために、
止む無く無期懲役刑を受け入れます。
ハンナが囚人を呼んで本を朗読させていた話を聞き、
マイケルの身体に戦慄が走るシーンがいいんですよね。
裁判中、マイケルは彼女の秘密に気付きます。
その秘密は、自分の人生を懸けてまでも
隠しておきたいものなんだろうか・・って誰もが思うよね・・・
ハンナは知性があるだけに、その事に対する恥が
想像以上に大きかったんでしょうね。
彼女の人生は、それを隠すために
常に孤独を選択する事になりました。
SSになったのは、シーメンス工場での昇進が決まった後。
事務ではなく看守なら出来るだろうって事で決めたのでは?
特にナチスに協力したくて選んだわけじゃないでしょう。
与えられた仕事を言われた通りにやっただけ。
結果的にその責任感が非人道的だと裁かれるとは、
思ってもいなかったような様子でした。
マイケルの前から突然姿を消したのも、
車掌での真面目な勤務ぶりが認められ、
事務職に移される事になったため。
その秘密に触れられる事は自分の尊厳が崩れる事。
いつも恐れながらそして虚勢を張って生きてきたんですね。
その人生を思うと、悲しくて胸が苦しくなってきます。
マイケルは彼女の罪を軽くする事が出来るけど、
ハンナのプライドを守る事を選びました。
しかし、それ以降、
自分は彼女を救えなかったが、あれで良かったのかと、
自問し苦悩し続けます。
離婚後、一人になったマイケル(レイフ・ファインズ)は心の傷と向き合い、
数々の本を朗読しテープに吹き込むんですね。
この深い愛情には涙が溢れてきた~(;_:)
だけど、原作にこんな描写あったかな?と気になるシーンが・・・
ハンナから来た手紙をぞんざいに扱うシーンと、
出所間近のハンナに過去(看守時代)の事をどう思うか聞くシーン。
恐らく、学生時代、戦争でドイツが犯した事を学んだ映画の彼は、
ハンナよりも「ドイツ人の罪の意識」が強かったんじゃないだろうか?
愛情と同時に許せない気持ちもあったようですね。
ハンナは、彼がもう昔の「坊や」ではなく
すっかり大人になっている事や、
もう朗読者になってもらえない事を悟り、
ああいう決断を下したんでしょう。
観終わって、マイケルやハンナの気持ちに思いを巡らし、
とても切なくなってしまう作品です。
ひと夏の恋愛が、秘密や戦争が絡んで、
後の人生を変えるものとなった・・・
その2人の内面を丁寧に見せてくれました。
#2008年 アカデミー賞主演女優賞受賞