重力ピエロ
2010-01-23(Sat)
またまた良い邦画に出会えたなあ~って気分。
思いがけない展開で、強い余韻を残す作品です!
伊坂幸太郎原作映画は「ゴールデンスランバー」が近々公開されるし、
これまでにも多くの作品があり人気のようですが、今回初鑑賞です。

監督:森淳一
製作:2009年 日本
原作:伊坂幸太郎
出演:*加瀬亮 *岡田将生 *小日向文世 *鈴木京香 *渡部篤郎
家族の愛は、重力を超える。
ミステリーと家族ドラマが上手く交錯した、
とても良く練られた脚本ですね~
キャストがハマッていて、すごくいい!
遺伝子を研究する兄に加瀬亮。優しくて弟思いなのが伝わってきます。
アートの才能がある弟・春に岡田将生。イケメンの雰囲気満載。
クールで危うい感じがこれまたカッコイイ。
笑顔を絶やさない父親に小日向さん。若い時のカツラ姿はギャグに
見えるけど、大きな包容力はこの人ならではの魅力。最高!
美しい母親に鈴木京香。生前は明るく優しかった理想の母にピッタリ。
前半は、ちまたで多発する放火事件と、
街に落書きされているグラフィックアートとの関連性に、
遺伝子の二重螺旋構造が謎解きに加わって、
放火犯に迫るミステリーのように見えました。
それが、奥野家の昔の思い出を辿る映像を
ほのぼのと見ているうちに、この家族に起きた身震いするような
惨劇を知る事になろうとは・・・
ネタバレあります
あまりにもいろいろな伏線や要素があって、
頭の中でまとまらないので、キーワードを一つずつ
並べていく事にします。
「本当に深刻な事は陽気に伝えるべきなんだよ」
この家族のポリシーでもあるし、作品全体のカラーでもあります。
出生の秘密、癌、犯行・・・メチャクチャ深刻なのに、
重くならないように扱ってるんですよね。
「楽しそうに生きていれば、地球の重力なんて消してしまえる」
「重力ピエロ」
本当は、ものすごく重い重力を背負っていた家族だったんだね。
それを感じさせないように、ずっともがいてきた家族の姿を
描いた作品だったとは。
哀しみを笑顔で隠すピエロのように、
明るく楽しい表情を見せていた両親。
その包容力に包まれて育ってきた兄弟。
「春が2階から落ちてきた」
春はまるで重力に逆らうように、軽やかにフワリと飛んでみせます。
「俺達は最強の家族だ」
その通り、強い愛と絆は揺らぐ事がありませんでしたね。
「許されざる者、報いを受ける」
まさに許されざる者と言える狂った犯罪者。
罰は受けているんだけど、少年という事でたった5年で社会復帰。
渡部篤郎の演技が狂気に満ちているので、誰もが殺意を抱くでしょう。
反省の色など全く無い上に、被害者を貶める物言いなんだから。
「遺伝か環境か」
愛情に溢れた素晴らしい家庭環境は、
申し分なく家族に強い結びつきをもたらしました。
しかし、それ以上に課せられた重力は、彼らを押し潰さんばかり。
引越しをするなら、なぜ自分達の事を知らない遠方にしなかったのか?
忌わしい犯罪が起こり、その犯人の近況が耳に入りやすい地元、
周囲から色メガネで見られる地元に、
なぜ子供達を住まわせ続けたのか?
住まいと言う環境では大きな失敗があったと思うんですよね。
遺伝は無視したくても、顔形や嗜好に現れ、
無意識に与える影響は少なくはないはずです。
春は自分の遺伝子を知ったばかりに、
それを断ち切るかのように、女性を遠ざけました。
だけど、24年前の犯行現場と同じ場所に立つ姿は、
遺伝の呪いに取り付かれたようにも見えた・・・とても切ない。
「おまえがやった事は悪い事じゃない」
おまえ以上にこの事を真剣に考えられる奴はいないと、
兄は言います。
共感したくなる説得力のある言葉ではあるんだよね~
この時はそうだよね~なんて思ったりしたんだけど・・・
「自分で考えろ」
警察が意図的に出てこなくて、ラストは問題提議になっています。
私の中では、一応答は出てます。。。
放火・殺人に対して何の罪の意識もないのは、事情は違っても、
遺伝子上繋がっているあの男と同じになっちゃってる。
厳しい見方かもしれないけど、道を外したら平穏はないのでは?
父親は笑顔で「おまえは悪い事をした」と言ってましたよね。
ラストはスッキリしないものがあるけど、
追いつめられるまでに苦悩を抱え込み、
それを見せまいと重力に耐えて生きてきた兄弟の姿には
胸を締め付けられ、苦しくなりました。
思いがけない展開で、強い余韻を残す作品です!
伊坂幸太郎原作映画は「ゴールデンスランバー」が近々公開されるし、
これまでにも多くの作品があり人気のようですが、今回初鑑賞です。

監督:森淳一
製作:2009年 日本
原作:伊坂幸太郎
出演:*加瀬亮 *岡田将生 *小日向文世 *鈴木京香 *渡部篤郎
家族の愛は、重力を超える。
ミステリーと家族ドラマが上手く交錯した、
とても良く練られた脚本ですね~
キャストがハマッていて、すごくいい!
遺伝子を研究する兄に加瀬亮。優しくて弟思いなのが伝わってきます。
アートの才能がある弟・春に岡田将生。イケメンの雰囲気満載。
クールで危うい感じがこれまたカッコイイ。
笑顔を絶やさない父親に小日向さん。若い時のカツラ姿はギャグに
見えるけど、大きな包容力はこの人ならではの魅力。最高!
美しい母親に鈴木京香。生前は明るく優しかった理想の母にピッタリ。
前半は、ちまたで多発する放火事件と、
街に落書きされているグラフィックアートとの関連性に、
遺伝子の二重螺旋構造が謎解きに加わって、
放火犯に迫るミステリーのように見えました。
それが、奥野家の昔の思い出を辿る映像を
ほのぼのと見ているうちに、この家族に起きた身震いするような
惨劇を知る事になろうとは・・・
ネタバレあります
あまりにもいろいろな伏線や要素があって、
頭の中でまとまらないので、キーワードを一つずつ
並べていく事にします。
「本当に深刻な事は陽気に伝えるべきなんだよ」
この家族のポリシーでもあるし、作品全体のカラーでもあります。
出生の秘密、癌、犯行・・・メチャクチャ深刻なのに、
重くならないように扱ってるんですよね。
「楽しそうに生きていれば、地球の重力なんて消してしまえる」
「重力ピエロ」
本当は、ものすごく重い重力を背負っていた家族だったんだね。
それを感じさせないように、ずっともがいてきた家族の姿を
描いた作品だったとは。
哀しみを笑顔で隠すピエロのように、
明るく楽しい表情を見せていた両親。
その包容力に包まれて育ってきた兄弟。
「春が2階から落ちてきた」
春はまるで重力に逆らうように、軽やかにフワリと飛んでみせます。
「俺達は最強の家族だ」
その通り、強い愛と絆は揺らぐ事がありませんでしたね。
「許されざる者、報いを受ける」
まさに許されざる者と言える狂った犯罪者。
罰は受けているんだけど、少年という事でたった5年で社会復帰。
渡部篤郎の演技が狂気に満ちているので、誰もが殺意を抱くでしょう。
反省の色など全く無い上に、被害者を貶める物言いなんだから。
「遺伝か環境か」
愛情に溢れた素晴らしい家庭環境は、
申し分なく家族に強い結びつきをもたらしました。
しかし、それ以上に課せられた重力は、彼らを押し潰さんばかり。
引越しをするなら、なぜ自分達の事を知らない遠方にしなかったのか?
忌わしい犯罪が起こり、その犯人の近況が耳に入りやすい地元、
周囲から色メガネで見られる地元に、
なぜ子供達を住まわせ続けたのか?
住まいと言う環境では大きな失敗があったと思うんですよね。
遺伝は無視したくても、顔形や嗜好に現れ、
無意識に与える影響は少なくはないはずです。
春は自分の遺伝子を知ったばかりに、
それを断ち切るかのように、女性を遠ざけました。
だけど、24年前の犯行現場と同じ場所に立つ姿は、
遺伝の呪いに取り付かれたようにも見えた・・・とても切ない。
「おまえがやった事は悪い事じゃない」
おまえ以上にこの事を真剣に考えられる奴はいないと、
兄は言います。
共感したくなる説得力のある言葉ではあるんだよね~
この時はそうだよね~なんて思ったりしたんだけど・・・
「自分で考えろ」
警察が意図的に出てこなくて、ラストは問題提議になっています。
私の中では、一応答は出てます。。。
放火・殺人に対して何の罪の意識もないのは、事情は違っても、
遺伝子上繋がっているあの男と同じになっちゃってる。
厳しい見方かもしれないけど、道を外したら平穏はないのでは?
父親は笑顔で「おまえは悪い事をした」と言ってましたよね。
ラストはスッキリしないものがあるけど、
追いつめられるまでに苦悩を抱え込み、
それを見せまいと重力に耐えて生きてきた兄弟の姿には
胸を締め付けられ、苦しくなりました。