戦場のピアニスト
2008-11-26(Wed)
この作品も「ヒトラーの贋札」と同じく、
ナチスから生き延びた男の物語です。
ユダヤ系ポーランド人だったピアニストのシュピルマンが
戦後1946年に出版した回想録を基にした映画です。

監督:ロマン・ポランスキー
製作:2002年 ポーランド・フランス
出演:*エイドリアン・ブロディ *トーマス・クレッシュマン
音楽だけが生きる糧だった
監督のポランスキーもポーランド人で
同じように戦禍をくぐりぬけてきた人なので、
体験して見てきた事をそのまま映像化したというような、
真実の重さを強く感じる映画です。
隠れた場所から外を覗いている視点のカメラワークが多く、
飾りも特にない淡々としたタッチが、
ドイツ軍から逃げ回るユダヤ人の
ドキュメンタリーを観ているようなリアルさを生んでいます。
今まで何気なく聞いていたこんな言葉が、現実的な意味を持って重くなりました。
ゲットー・・・・ユダヤ人居住地区
SS・・・・・・・・ユダヤ人のナチス親衛隊
ゲシュタポ・・ナチス秘密国家警察
人間を獣のように簡単に殺戮する残酷さ。
これまで観た映画の中でも、かなりの酷さです。
戦争は人格を変えてしまう。
悲惨な実態から目をそらしてはいけません。
あの過酷な状況で生きていくのがどれだけ辛く困難な事だったでしょう。
しかしシュピルマンは運によって生かされました。
「生かされた」偶然が次の苦難の中で、
「生きていく」という意志にだんだん変わっていきます。
その生々しさに心が震えました。
ドイツ軍から身を隠し、食べ物をひたすら探し、ひとつの缶詰に執着し・・・
必死に生き抜くって、こういう事なんですね。
キャラメルひとつがとても重かったです。
シュピルマンを支えたのは音楽でしょう。
心の希望として音楽を忘れる事はありませんでした。
そしてドイツ人将校も、戦争と対極にある音楽から
象徴となる平和を垣間見たのではないでしょうか。
彼らにとって、音楽はすがりつきたい希望だったと思います。
あのショパン「バラード第一番」は圧巻でした。
叩きつける鍵盤、転がる音色、激しくも美しいピアノでしたね。
将校は密かにシュピルマンをかくまってくれました。
戦争が人を狂わせているだけで、
ナチスにも善人が存在したし、ユダヤ人にも悪人が存在したと、
これまでのホロコ-スト作品では観られなかった描写が珍しいですね。
終戦後、立場が変わったシュピルマンは、
残念な事に、ドイツ人将校を助けてやれませんでしたが、
後にこのような回想録を残し、歴史の目撃者として
役目を果たしたんだと思います。
それにしても、戦争の愚かさを思わずにはいられませんね。
2002年アカデミー賞主演男優賞・監督賞・脚本賞 受賞
ナチスから生き延びた男の物語です。
ユダヤ系ポーランド人だったピアニストのシュピルマンが
戦後1946年に出版した回想録を基にした映画です。

監督:ロマン・ポランスキー
製作:2002年 ポーランド・フランス
出演:*エイドリアン・ブロディ *トーマス・クレッシュマン
音楽だけが生きる糧だった
監督のポランスキーもポーランド人で
同じように戦禍をくぐりぬけてきた人なので、
体験して見てきた事をそのまま映像化したというような、
真実の重さを強く感じる映画です。
隠れた場所から外を覗いている視点のカメラワークが多く、
飾りも特にない淡々としたタッチが、
ドイツ軍から逃げ回るユダヤ人の
ドキュメンタリーを観ているようなリアルさを生んでいます。
今まで何気なく聞いていたこんな言葉が、現実的な意味を持って重くなりました。
ゲットー・・・・ユダヤ人居住地区
SS・・・・・・・・ユダヤ人のナチス親衛隊
ゲシュタポ・・ナチス秘密国家警察
人間を獣のように簡単に殺戮する残酷さ。
これまで観た映画の中でも、かなりの酷さです。
戦争は人格を変えてしまう。
悲惨な実態から目をそらしてはいけません。
あの過酷な状況で生きていくのがどれだけ辛く困難な事だったでしょう。
しかしシュピルマンは運によって生かされました。
「生かされた」偶然が次の苦難の中で、
「生きていく」という意志にだんだん変わっていきます。
その生々しさに心が震えました。
ドイツ軍から身を隠し、食べ物をひたすら探し、ひとつの缶詰に執着し・・・
必死に生き抜くって、こういう事なんですね。
キャラメルひとつがとても重かったです。
シュピルマンを支えたのは音楽でしょう。
心の希望として音楽を忘れる事はありませんでした。
そしてドイツ人将校も、戦争と対極にある音楽から
象徴となる平和を垣間見たのではないでしょうか。
彼らにとって、音楽はすがりつきたい希望だったと思います。
あのショパン「バラード第一番」は圧巻でした。
叩きつける鍵盤、転がる音色、激しくも美しいピアノでしたね。
将校は密かにシュピルマンをかくまってくれました。
戦争が人を狂わせているだけで、
ナチスにも善人が存在したし、ユダヤ人にも悪人が存在したと、
これまでのホロコ-スト作品では観られなかった描写が珍しいですね。
終戦後、立場が変わったシュピルマンは、
残念な事に、ドイツ人将校を助けてやれませんでしたが、
後にこのような回想録を残し、歴史の目撃者として
役目を果たしたんだと思います。
それにしても、戦争の愚かさを思わずにはいられませんね。
2002年アカデミー賞主演男優賞・監督賞・脚本賞 受賞