アメリカン・ギャングスター
2008-09-27(Sat)

監督:ルドリー・スコット
製作:2007年 アメリカ
出演:*デンゼル・ワシントン *ラッセル・クロウ
*ジョシュ・ブローリン *ルビー・ディー
けもの道を行く実在の男たちの容赦なき戦いの人生!
渋い男の映画です!
実話に基づいているので、むやみなハデさはありません。
暗黒街の黒人麻薬王フランク・ルーカス(デンゼル)と、
ストイックなまでに仕事で正義を貫くリッチー・ロバーツ捜査官(ラッセル)
二人の男の生き様をジックリ見せてくれます。カッコイイ!
フランクは、今まで誰もやっていなかった、
麻薬の直接仕入れで巨万の富を築きます。
それは、ベトナム戦争のニュースで、米軍兵士の麻薬汚染に
目を付けたところから始まり、ずっと戦争を利用していくんですね。
いかにベトナム戦争が暗い影を落としたのかをこの作品でも感じた!
アイデア一つでチャンスを掴めるというところは、
悪事ではあるけど、アメリカンドリームと言えます。
しかしフランクはハデさを抑え、きちんとした生活を送る。
そして自分の一族を呼び寄せ、組織を作った。
この地道な仕事ぶりと家族思いな点がデンゼルにピッタリ!
でも、時には豹変して暴力を振るう一面もあり、
観ている私も震え上がるような緊張感がありました。
一方、リッチーは、汚職にまみれた警察の中で、
正義を貫き通すために孤立しています。
私生活では、女にだらしなく、奥さんから愛想をつかされながらも、
夜学で司法の勉強をしているなど、人間臭さを感じます。
これまた、崩れた雰囲気がラッセル・クロウにピッタリじゃないの!
ストーリーのネタバレあります
この二人が接点を持つ最初のシーンは、ボクシング会場。
ゴージャスな毛皮のコートを着て特等席に座るフランク。
この油断が、リッチーの目を引く事になります。
その後の直接対決は、映画「ヒート」のように、なかなかない。
正直なところ、もっと二人の対決が観たかったけどね。
アパートの銃撃シーンと教会のシーンを交互に映しながら、
二人がとうとう静かに対面する・・・
やっとここにキターッ! オスカー俳優同士、オーラがある★
その後の展開は実話に基づいての事なんでしょうが、
意外な方向へ向いていきましたね。
この二人には、「信念を持った一匹狼」という共通点がありました。
リッチーは正しい事をしたため周囲から浮いていたし、
フランクにしても、麻薬密売に仲介者を一切排除したため、
多くのマフィアから反感を買っていました。
その一匹狼のせいか、互いに男気を強く感じたんじゃないかなあ。
二人はとても気が合ったように思います。
司法取引って、いい加減な手段だなあと思いつつも、
二人が協力して警察内の掃除をしたのは、スカッとしたわ。
フランクがやった事は、世の中を麻薬に染めて酷いもんだけど、
それよりも、横から旨い汁を吸おうと恐喝・横領を当たり前とする
警察官が一番憎たらしく見えたもんね。
その数のすごさに驚かされました。
二人は最後には笑顔まで出てましたね。
現実に、警察を辞め、検事を経て弁護士になったリッチーは、
最初にフランクの弁護をしたとテロップにありました。
リッチーにとってフランクは、一緒にいて助けてやりたい男と
なったんでしょう。
実在の一匹狼同士の闘いをスリリングに描いた渋い作品です。
一言。要ドラッグ↓
「エンドロールの最後に出てくるデンゼルのワンカット。
あれは、出所した後もおとなしくしてなかったって事かな?」