英雄 HERO
2008-08-12(Tue)

監督:チャン・イーモウ
製作:2002年香港・中国
出演:*ジェット・リー *トニー・レオン *マギー・チャン
*ドニー・イエン *チャン・ツィイー *チェン・ダミオン
この国はまだ、本当の英雄<ヒーロー>を知らない
北京オリンピック開会式の総指揮を務めた、
チャン・イーモウ監督作品。
この「HERO」には、あの開会式と共通した
見事な色彩や、人海戦術や、ワイヤーが見られます。
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まさに絵画の世界のような
色鮮やかな映像に目を見張りました。
さすが中国と言える広大な土地に大群衆。
壮大なスケールは圧巻です!
東洋の味わいが、自然背景や衣装や書に出ていて、
どこを切り取っても、本当に風情のある美しい画なんです。
刺客である無名(ジェット・リー)が、秦王(後の秦の始皇帝
チェン・ダミオン)に謁見し、
秦王の命を狙っていた者達を倒したという話をする、という設定。
これが軸で、無名の創造の話や 事実や
観念の世界が入り乱れるものだから、
何度か同じようなシーンが繰り返され、
あれ、この人、さっき死んだんじゃないの?とか思うはめになります。
つまり、「この話はこう見えたけど実はこうです」みたいな事で、
二転三転して繰り返されるわけです。
なかなか謎を含んだストーリー展開でした。
シーンが変わる度に色も変えて、とても綺麗です。
ネタバレあります
秦王は出来た人間で、無名の嘘を見破り、
無名との対峙の中から、
「剣を持たない」「人を殺さず平和をもたらす」
という境地に至ります。
無名はそんな秦王を見て、10年来の思いが変わるんですね。
刺客が秦王の中に思慮深さや器の大きさを見出し、
天下人だと受け入れる!
それだけ、後の秦の始皇帝は偉大な人だと描いています。
HEROとは秦王であると共に、
彼を刺せる所まで行ってそうしなかった男の両方だと思いました。
他の刺客もスター揃い! これだけよく集まったわ。
アクションが中心となっているけど、ワイヤーの多用には少々ウンザリかな。
ワイヤーをカットしても、ストーリーで充分楽しめたのにな。
それにしても、今の中国を思うと、
秦の始皇帝が至った境地はどうなったやら。。。
そう言えば、こんなセリフもありました。
「天下の泰平のためには犠牲もやむを得ない」
犠牲ね・・・多過ぎるんじゃないでしょうか・・・