グッド・シェパード
2008-08-09(Sat)

監督:ロバード・デ・ニーロ
製作:2006年 アメリカ
出演:*マット・デイモン *アンジェリーナ・ジョリー *アレック・ボールドウィン
*タミー・ブランチャード *ビリー・クラダップ *ロバート・デ・ニーロ
*マイケル・ガンボン *ウィリアム・ハート *ジョン・タトゥーロ
*ティモシー・ハットン *ジョー・ペシ
CIA誕生にすべてを捧げた男の物語
マット・デイモンがCIA諜報部員役なので、
どうしてもジョイソン・ボーンを連想してしまうんだけど、
あちらは「動」に比べ、こちらは本当に抑えに抑えた「静」の魅力。
アクションは全くなく、大きな山場もありません。
でも、CIA誕生にまつわる興味深い話で引き込まれました。
出演者の豪華さを見て~~!
もう名だたる俳優が次から次へと出てきます!
アンジェリーナが登場してきたのは、物語がけっこう進んでからだし、
ロバート・デ・ニーロの出演なんてほんの少しだから、
「これだけ?」と思っていたら、今作は監督をしていたんですね。
最初は話の筋を追っていくのに懸命になりました。
とにかく登場人物が多い。
と言う事はカタカナの名前が多く出てきて覚えづらい。
1961年のシーンと、そこから20年前くらいの回想シーンが
行き来するんだけど、マットの見た目の変化が乏しく、
どちらも同じような年齢に見えるので、
これはいつの話だ?なんて戸惑いもあり・・・(^_^;
でも、終わってみれば、それほど複雑な話ではなかったと、
分かる作りになっていました。
1961年の部分は、キューバのカストロ政権転覆をねらった
「ピッグス湾作戦」失敗の原因究明を描き、
回想部分では、エドワードがどのように諜報活動に加わり、
その後CIAの一員となり、「良き羊飼い」として仕事をしてきたか、
そしてその葛藤と苦悩を描いています。
一本のテープと一枚の写真を、当時の科学技術を駆使して解析し、
場所や人物を特定するのを見て、
もう40年以上前からそこまで出来たんだと思って面白かったです。
国家権力と忠誠心に翻弄されるエドワードは、
表情にこそ全く出さないけど、苦悩に満ちていました。
家庭を疎かにすれば、妻に不信感を持たれ、
崩壊寸前の状況。
周囲の人間はみんな裏があって誰一人信じられない。
あれじゃあ、気持ちの安らぐ居場所がないし、
人間不信に陥りますよ!過酷な仕事なんだなあ ε-(´o`;
そんな中、ソビエトの諜報部員と互いを尊重し合って、
会話をしているシーンがあって、不思議な気がしました。
今までのスパイ映画だと、敵に正体を知られてはいけないし、
ヘタすると家族にまで危険が及ぶものだと思っていましたから。
最終的に国家レベルの作戦と、家庭レベルの親子問題が
絡まる展開となり、エドワードは窮地に立たされます。
それまで国家と忠誠心に翻弄されていた側だったエドワードが、
その後翻弄する側に回るんでしょうね。
マットは本来このような抑えた演技の方が合ってる気がします。
静かにCIAの闇に迫る重厚な作品で、3時間弱見応えがありました。