スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師
2008-08-01(Fri)

監督:ティム・バートン
製作:2007年 アメリカ
出演:*ジョニー・デップ *ヘレナ・ボナム=カーター *アラン・リックマン
いらっしゃいませ。そして、永遠にさようなら。
いくらジョニー・デップとティム・バートンのコンビ作品でも、
ミュージカルと聞いては、積極的に観る気がしませんでした。
でも思い切って観てみたら、ラストには胸に迫るものもありました。
トニー賞を受賞したというミュージカルを基にして、
ティム・バートン・マジック炸裂の映像で仕上げた作品なんですね。
画面全体が、独特なダークカラーで陰鬱な雰囲気。いいねえ~
復讐に捉われている男の話なので、
心の闇がそのまま、あの暗い色調になっているんです。
それと対照的に、トッド(ジョニー)が幸せだった過去と、
ミセス・ラベット(ヘレナ・ボナム=カーター)がみる夢のシーンだけは、
とても明るくて美しい色彩。
心情と同調した色合いは、くっきりと違いを出してましたね。
噂には聞いていたけど、本当に猟奇的で残酷なシーンが多い!
鋭利な刃物は恐ろしいわ~~思わず顔を覆った時もありました。
そのグロさを、歌や現実離れした映像で和らげているんですね。
ジョニーの歌、初めて聴いたけど、なかなか良いですよ。
高音部になっても裏声にならない、強さのある魅力的な声です。
トビー少年もボーイソプラノで上手でした~
曲は優しくてきれいなメロディのものが多かった。
イケメン風味(風味のみ)の青年の♪ジョアナ~♪とか、
ジョニーとアラン・リックマンがデュエットする♪愛らしい女♪とか、
ハモリがステキでしたね。
あと、ミセス・ラベットが、誰がどんな味かなんて、
楽しい事を思いついたかのように明るく歌っていて、
笑ってしまった(≧ε≦)
ユーモアも、これまでのバートン作品と同じく取り入れられていて、
ジョニーがボーダーの水着で眉間にシワを寄せているシーンなど、
笑えるところもかなりありました。
ドギツさばかりに目が行かないように、
軽妙な味付けで工夫されてましたね。
このトッドとミセス・ラベットは、色白で目の下に黒いクマ、
髪は爆発という風変わりなゴシック風で一見似た者同士。
理髪師とパイ屋は、ゾッとする秘密がある組み合わせなのです。
ミセス・ラベットの女心には同情するところもあるけど、
負の人間と負の人間が手を組んだって負の結果しか出てこない。
飛び散る血しぶきがセンセーショナルな印象でも、
終わってみれば、やるせない話でした。。。
憎しみに狂わされ、心の闇で曇り、
大切なものすら見えなくなってしまった男が、
あまりにも憐れで、ちょっとグッときてしまいました。
悲劇が悲劇を生んだ、哀しみの幕切れとなりました。