グッバイ、レーニン!
2008-06-24(Tue)

監督:ヴォルフガング・ベッカー
製作:2003年ドイツ
出演:*ダニエル・ブリュール *カトリーン・サーズ *マリア・シモン
時代は変わっても、心は変わらない。
ベルリンの壁崩壊・東西ドイツ統一という歴史的事件を、
東ドイツ国民側から捉えた視点が興味深い作品です。
アッサリとして軽妙な味に仕上がっていますが、
「善き人のためのソナタ」を観た後で思えば、
このような軽いタッチでしか作れなかったんじゃないのかな?
東を振り返る映画としては まず当時を懐かしむものから、って事で。
東の独裁体制を批判する内容は全くなく、
深刻になるのをあえて避けて、
社会主義の理想を追っていた人の様子が描かれています。
事実上、東は西に吸収された形で、自由化し、
資本主義がどんどん流れてきて変化するけど、
東に生まれたというアイデンティティは、そう簡単に消す事は出来ない。
東へのノルタルジーをところどころに散りばめながら、
最後には東西融合して、一つの国としてやっていこうという、
そんな精神が感じられました。
とにかく、作品は重さがなく微笑ましい内容です。
淡々と進み、ユーモラスでさえあります。
心臓発作で8ヶ月間昏睡状態だった母が、目覚めた時には、
ベルリンの壁はなくなり、社会は激変していました。
でも、刺激を与えないようにと、社会主義東ドイツが存在しているかのように
息子は母のために、涙ぐましい偽装工作をします。
それはいつしか、自分が望む社会の形を表現しているんですけどね。
母も真実に気付きながら、息子のために嘘を信じてみせます。
みんな優しいんだよね~
息子は母を思いやり、母も息子を思いやる。
心憎いまでの優しさ! いいなあ。
一人一人のキャラも面白いです。
特にニセニュースを作っていた友人が楽しかった。
自分の得意分野だからイキイキしてましたね(^▽^;)
当時の両ドイツの人たちにしてみれば、
統一して、全てがウェルカムだったわけじゃなかったんですね。
そんな戸惑いを知る事ができ、愛にも溢れたいい映画でした。