バベル
2008-04-12(Sat)

監督:アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ
製作:2006年 アメリカ
出演:*ブラッド・ピット *ケイト・ブランシェット *ガエル・ガルシア・ベルナル
*役所広司 *菊地凛子
神は、人を、分けた。
菊地凛子さんが、アカデミー賞候補になった事で話題になった頃、
このタイトルが旧約聖書のバベルの塔から来ていると、
聞いていたので、そこのところの予習だけはしておきました。
「バベルの塔」
かつて、全地が一つの言語だった頃、
バビロニアの人々が、天まで届く塔を造ろうとした。
神への崇拝ではなく、自分たちの名を揚げるために。
それが神の怒りに触れ、
神はお互いが理解できないように言語をバラバラにし、
バベルの塔の建設を中断させた。
これと映画を照らし合わせてみると、
言葉(思い)の壁と、愚かな行為というのがテーマかな。
モロッコ、メキシコ、日本を舞台に、
異なったシチュエーションの4組が人間模様を展開していきます。
モロッコの兄弟と、アメリカで子守の仕事をしているメキシコ人の
話では、「ただ愚かな事をしてしまっただけ」というセリフの通り、
ちょっとした悪意のないバカげた行動が、思わぬ不幸を
呼んで、大変な事になってしまいます。
モロッコでのアメリカ人夫婦と、東京の聾唖の女子高生は、
思いが通じない苛立ちや孤独感をつのらせていました。
あの女子高生が男を見れば目の色を変えて大胆な行動に出るせいで、
他の3組に比べ、東京のシーンだけ好感が持てなかったんです。
だけど、疎外感は誰よりも一番ひしひしと感じられたなあ。
ディスコのシーンで、急に音が遮断されるのは、
自分の周囲に壁があって別世界に取り残されてると、
痛切に感じる事ができましたよ。
ライトがチカチカ点滅すると、画面が見づらかったのに、
友達の裏切りの顔だけハッキリと浮かび上がって、
ドキッとさせられました。
女子高生があんなバカな行動に出てしまったのは、
誰にも自分の思いが通じなくて、受け入れてもらえなくて、
誰でもいいから自分を受け止めてほしかったからなのだ。
そんな悲痛な心の叫びは、ストレートに伝わってきたなあ。
世界のいろんな地域の全く境遇の違う人たちが、みんな同じように、
言葉や思いが通じ合えなくてもどかしい思いをし、
愚かな行いに後悔している。
それが、銃という接点があったように、
思いもしないところで、繋がっていたりします。
人は孤独だと思っていても、誰かから影響を受け、
誰かに影響を与えて生きているんですね。
出演者が、ブラピ、ケイト、ガエルくんなど、
私の好きな人ばかりなんだけど、
すごくキャラを抑えてたと思います。
土ぼこりの背景に溶け込んで、「どこかの誰か」みたいに、
全くフツーの人を演じてましたね~
そんなフツーの人たちの中にあって、菊地凛子さんは
特殊なキャラだったから、目立ってノミネートされたのかな。
考えさせられる作品ですが、
もう一度観直したいとは思わなかったです。。。