カッコーの巣の上で
2008-02-08(Fri)

ここのところ、NHKBSでアカデミー賞特集をやっていて、
ちょうど再鑑賞したかった「カッコーの巣の上で」を録画して観ました。
これは、かなり昔に観て、とても感動したのを覚えています。
また何十年も経って、これを観られるとは、うれしいっ!
監督:ミロス・フォアマン
製作:1975年 アメリカ
出演:*ジャック・ニコルソン *ルイーズ・フレッチャー *ウィル・サンプソン
*クリストファー・ロイド *ダニー・デヴィート *ブラッド・ドゥーリフ
一羽はカッコーの巣の上を飛んでいった・・・
暴行などで服役中のマクマーフィ(略マック ジャック・ニコルソン)は、
刑務所の強制労働から逃れようと、精神を病んでいるふりをして、
精神病院に移ってきた。
そこは、規則で患者を縛り、統制を重んじる管理社会だった。
30年以上も前の作品だけど、この頃からJ.ニコルソン老けてる~
おでこなんてM字額に もうなってるよ。(≧ε≦)
だけど、眼光鋭くギラギラしてる。この異彩の放ち方はすごいね★
患者たちも、名優揃いで「あ、ドクだ」とか、改めて感激しました。
みんな本当に病気に見えるくらい、なりきり方が見事!
どの人も個性が強くて、愛おしくなってきます。
最初はみんな表情に乏しく、穏やかでした。マックが来るまでは。
マックは、この病院の管理体制に反発して、騒動を起こします。
そして、圧倒的権威の象徴である婦長と対立していきます。
(字幕では「看護師長」と新しく変えてありました)
このあたりの騒動の部分は、本当に楽しくて大好き!
映っていないテレビに向かって、まるで見えているかのように、
野球中継をするマック。それに群がり盛り上がる患者達。
自分たちだけで勝手にバスに乗って出掛けてしまうシーンでは、
マックのガールフレンドに「みんな、イカれてる?」と聞かれて、
うれしそうに、ウンウンってうなずいてるの。(≧∇≦)ノ彡☆
船で釣りに出掛け、捜索されてるにもかかわらず、
大きな魚を釣って、得意顔で帰ってくる、その誇らし気な姿。
前は やる事もなかったバスケットが、だんだん出来るようになって、
うれしそうに小走りにコートを行くチーフの様子。
みんな、どんどん生き生きとして笑顔になっていくんです。
子供のように はしゃいで心から楽しくしている姿は、
見ていて、うれしくなるものです。
うれしくて、泣けました。泣きながら笑ってました。私。(;´_ヘ;)
マックは、みんなから豊かな表情や活力を引き出していきました。
これこそが、治療になるんじゃないの?
でも、病院側は、ルールから逸脱した行動を悪と決め、
マックを危険人物とみなします。
この病院は患者を本当に治そうという気はないのだ。
工場のように物を型にはめて、きれに収めたいだけ。
人間として扱ってはいません。ただの物扱いです。
その場を支配している婦長にしても、工場の機械の一部です。
プログラムされたように、管理の仕事をこなしているだけの事。
そこには人間らしい感情が一切ないものだから、
常に無機質で氷のような冷たい顔しか見せません。
マックは別に正義のヒーローじゃないけど、
少なくとも、患者たちを人として接し、尊重していました。
だから、チーフを初めみんな マックを慕ったんです。
でも、患者たちは、いつでもこの病院から出られるのに、
出て行こうとしません。出る勇気がありません。
それは外には彼らの居場所がないからなんですね・・・
決して外が住み易いわけじゃない。それが悲しい。。。
ネタバレあります
世間から煙たがられているという意味では、マックも同じです。
同類であるが故に仲間として愛しさを感じていたから、
逃げるチャンスが2度もあったのに、犠牲にしてしまったんでしょう。
とにかく、体制側は平穏な運営だけを考え、
自分たちの都合の良いように管理しやすい状態を作っておきたいから、
危険分子を処分するんです!
最初の電気もひどいと思ったけど、
2度目にやった手術は、むご過ぎて許せん!!
人間らしさを奪って廃人にするとは、残酷極まりない!
何の権利があって、そんなひどい事ができるのか。
それを見たチーフは、ここにいてはいけないと、
初めて自分の意志で行動するんです。
このチーフの事は、一番最初に観た時は、すっかり騙されて、
衝撃が大きかったなあ。
チーフは、マックを解放し、同時に自分をも解放して、
マックの意思を継ぎ、巣から旅立ちます。
「一緒に来るんだ」 精神はずっと一緒だよね・・・
このラストは一筋の希望が見え、本当に感動的です!!
心に残る名作ですよね★
1975年アカデミー作品賞・主演男優賞・主演女優賞・
監督賞・脚本賞 受賞
テーマ : 私が観た映画&DVD
ジャンル : 映画