シザーハンズ
2008-01-10(Thu)

監督:ティム・バートン
製作:1990年 アメリカ
出演:*ジョニー・デップ *ウィノナ・ライダー *ダイアン・ウィースト
汚れを知らない 優しいエドワード
ティム・バートンとジョニー・デップがコンビを組んだ最初の作品。
このお伽話は、昔テレビで何回も観ましたよ。
風変わりな怪物の姿をした人がジョニー・デップだとは、
あの頃は知りませんでした。
ティム・バートン色はすでにこの作品からありましたね。
モノトーンで不気味なお城と、その下に広がるのは
絵本のようにきれいな色彩の街並み。
淋しく暮らす孤独の場と、人々が明るく暮らすあこがれの場。
この対比の印象的な事!
主人公エドワードは、発明家に造られた未完成の人造人間。
ジョニーはセリフなしで、完璧に人造人間の表情を出してました。
悲しげな瞳や、気弱そうに戸惑う仕草や、
時々見せるはにかんだ笑顔がすごくいいの!
本当にもう、ハートをギュッとつかまれちゃいましたよ~★
見た目は黒尽くめで手がハサミなので恐そうなんだけど、
内面は純粋無垢。すっごいピュアなんです。
そんなエドワードを受け入れて、自分の家で面倒をみる、
セールスレディのペグは、すばらしく寛容な人ですね~
近所の人たちも最初は珍しがって、エドワードが庭木の手入れを
きれいにするのを見て、もてはやします。
エドワードも喜んでもらえたのがうれしくて、
犬の毛や人の髪をカットしたり、得意技を見せます。
氷をハサミで彫刻する時に、氷のカケラが飛んで雪のように舞う。
そのキラキラと輝く雪の中で、ペグの娘キムが踊るシーンは、
ステキなんですよね~♪心に残る美しいシーンです!
でも、好きなキムに「抱いて」と言われても、エドワードにはできません。
触れば相手を傷付けてしまう。この辛さ、切なさ・・・哀しいわあ。
前半はコメディタッチだったのに、後半は胸の痛くなる展開です。
みんなが、ペグみたいに寛容ならいいけど、いろんな人間がいます。
キムのBFは嫉妬から、悪意を持ってエドワードを罠にはめます。
悪者扱いされるようになったエドワードは、言い訳もせずにいると、
周囲からどんどん冷たい仕打ちを受けるようになります。
一般大衆って、良い時は持ち上げるけど、
やっぱり相容れないとなると、罵って排除しようとするんですよね。
大衆って勝手だし残酷です。
最後のお城の惨劇だって、大衆が追い込んだ結果なんだと思う。
エドワードはただ、愛する人を守りたかっただけ。
守ろうとすると傷付けてしまう悲しい宿命を背負っているのです。
キムだって、一般大衆から逃れられない一人でしたね。
エドワードが悪くない事を知っていながら、
大きな世間の流れに呑み込まれて何も言えなかった。
ただ、最後の最後にはエドワードを救ってくれたけどね。
ハサミの身体が意味するものって、「世間とは異質」って事かな?
世間に馴染めない、溶け込んでいけない。
普通でいたいのに、傷付ける気もないのに、
周囲を傷付けてしまうし、自分も傷付いてしまう。
そんなティム・バートンの意識が作り出したものなんでしょう。
エドワードは一般大衆の中で暮して、いろんな感情を知り、
初めて人を愛したけど、結局キムとは住む世界が違うため、
またお城にたった一人。。。普通に愛したかっただけなのに。。。
美しい思い出だけを胸に抱いて、氷を削り雪を降らせます。
キムは離れた所で生活しながら、雪を見るたびに
エドワードを思い出します。
美しくて哀しいストーリーと映像と音楽は、
何年経っても色あせずに心に残っているものです。