ホテル・ルワンダ
2007-12-06(Thu)

監督:テリー・ジョージ
製作:2004年 イギリス・イタリア・南アフリカ
出演:*ドン・チードル *ソフィー・オコネドー *ニック・ノルティ
「愛する家族を守りたい」
ただ一つの強い思いが、1200人の命を救った。
1994年、ルワンダで、民族対立から大量虐殺が起こった。
これは、実話を基にしたストーリーです。
これまで、アフリカの社会問題を扱った、
「ナイロビの蜂」「ブラッド・ダイヤモンド」を観たけど、
この「ホテル・ルワンダ」が一番恐かった!
いつ殺されるか分からない、
死がすぐそばに迫って来るという恐怖が常にあって、
ヘタなホラーよりずっと恐くて緊張の連続でした。
もう、生きた心地がしないとは、この事でしょう。
フツ族、ツチ族、部族が異なるというだけで、
なぜ憎悪を抱き殺そうとまでするのか?教育がないせいなのか?
背景はあまり説明がないから、その心理はちょっと理解しがたいです。
根絶やしにするまで徹底的に探し出して、むごい殺し方をする。
そこにあるのは狂気だけです。
ルワンダ虐殺に限らず、全ての戦争は狂気の中で行われるんです。
外資系ホテルの支配人ポール(ドン・チードル)は、
混乱する状況の中、初めは、ただ愛する家族を守りたいという一心で
行動していたんですが、行き場のない隣人達を見捨てられなくて、
ホテルにかくまい、みんなを守ろうと変化していきます。
驚いた事に、欧米諸国や国連はルワンダを見捨てて、
白人達だけ避難したんですね・・・
報道カメラマンが
「世界はあの虐殺行為を見て、『怖いね』と言うだけで、
ディナーを続ける」と言ったのは、嘆きじゃなかったの?
ホアキン・フェニックスだったから、正義感から何か行動を
起こしてくれると思ってましたよ。
でも、彼は恥ずかしそうに下を向いて去り、戻って来なかった。
そういう話だったんですね。
資源の豊富な国なら黙っていても踏み込んでくる大国が、
ルワンダのように何もない国となると、
「救う価値がない」「ゴミだ」と判断するんですね。
周りの全てから置き去りにされた人々の失望・哀しみ・恐怖・・・
それをまざまざと見せ付けられて、いたたまれなくなりました。
避難するためにホテルから去る白人達に、傘までさして見送るポール。
こんな絶望的な状況ですらホテルマンとしての品格を崩しません。
もっと感情を出してもいいんだよ!あの表情は哀しかった~・・・
ドン・チードルのソフトな話し方はオアシスそのものでしたね。
どんな時も感情を爆発させる事なく落ち着いて考え行動する男に、
どれだけの人々が救われた事でしょう。
希望を捨てないあの強さは、ルワンダに生まれた宿命を
受け入れたところから始まったに違いないです。
嘆いていても仕方ない、白人を恨んでも仕方ない。
何としても生き延びるのだ。
武器はただ一つ。ホテルマンだった事。
部屋・食べ物・金品・コネを最大限に利用し、ワイロを渡し、
人当たりの上手さで危機を乗り越えました。
国連でもやれなかった事を一ホテルマンがやったという
すごさに、頭が下がります。
隣人を救うために、ここまで自分の身を呈する事ができるだろうか?
国連平和維持軍の微妙な立場というものも改めて知りました。
どんな危機的状況下でも、こちらからは攻撃できません。
それでは危険極まりないに決まってます。
無力さを情けなく思うよりも、
これも命がけの仕事じゃないかと思いました。
エンドロールの良い歌を聴きながら、感情が一気に溢れ出して、
泣けましたね~(T_T) ウルウル
映画の力ってすごいですよね。
地球の端での出来事を身近に感じさせてくれるんですから。
映画ってありがたいです。これも観て良かった~★