ブラッド・ダイヤモンド
2007-11-26(Mon)

監督:エドワード・ズウィック
製作:2006年 アメリカ
出演:*レオナルド・ディカプリオ *ジャイモン・フンスー *ジェニファー・コネリー
ダイヤの価値を決める“4つのC”──
color(色) cut(カット) clarity(透明度) carat(カラット)
しかし、実は5つめのC<conflict>が存在することを、
あなたは知る
この映画は、観て良かったなあと思える内容でした。
社会的テーマがしっかりとあり、アクションもスケールを感じさせ、
俳優の演技も素晴らしく、とても見応えがありました。
「娯楽大作」には違いないだろうけど、
「娯楽」と言うにはちょっと気が引ける程の「重さ」のほうを、
私は感じてしまいました。
BLOOD DIAMONDつまり紛争(conflict)ダイヤとは、
アフリカ紛争地域で採掘され、反政府組織の武器購入資金源として、
不正に輸出し、違法取引されているものなんですね。
あの透明に輝く美しいダイヤの陰に、
そんな血生臭い背景があるとは・・・知りませんでしたよ。
(一部のダイヤですけどね)
内戦を長期化させているのは、先進国に不正ダイヤの需要があるから。
ダイヤに限らず、象牙・金・石油など資源の利権を巡っても同じ事。
「ナイロビの蜂」では人体実験をしていたし、
先進国はどれだけアフリカを食い物にしているんだろう。
すんごく気が滅入ってきた・・・
作品の半分くらいは銃撃シーン。
同じ国民同士、政府軍と反政府軍が撃ちまくるけど、
犠牲になるのは何の罪もない一般人なんです。
女・子供まで情け容赦なく射撃する軍の神経には、
もう言葉が出ません。
DVD特典、監督の解説を、最初の方だけ聞いたら、
「これでも現実に比べたら生ぬるい」んだそうです! ε-(´o`; フ~
無邪気な少年を、過酷な教育で洗脳し、人間性を壊して
少年兵を作り上げていく過程にも胸が苦しくなってきたぁ。。。
それから、ダイヤが値崩れしないように、買い占めて隠し、
市場に小出しする宝石会社のやり方にも憤りを感じたし!
でもでも、この作品は悲惨さだけで終わってはいません。
温かい人間ドラマがきちんとあります。
ダイヤ密売人・武器商人であるアーチャー(ディカプリオ)は、
元傭兵で、血も涙もないような男だったけど、
ソロモン(ジャイモン・フンスー)の息子を想う気持ちや、
マディー(ジェニファー・コネリー)の不正を暴こうとする
真っ直ぐな気持ちに触れて、少しずつ内面の変化を見せます。
恐らく、他人を、血の通った生身の人間として見たのは、
初めてだったんじゃないだろうか。
ディカプリオは、本格派のいい役者になったなあと思います。
メリハリのある演技で、裏の世界を生きる野性味溢れる男から、
人間性を回復していく様子を、つぶさに見せてくれました★
映画の中ほどに出てくるセリフ、
「人間の善悪は行動で決まる」
「悪人でも一瞬の愛情があれば人生の意味がある」を
体現した事になりますね。
ジャイモン・フンスーの親子愛も見所で、ラストの方で、
銃を構える息子を洗脳から解き放つ父親の姿には、
グッときましたよ~ (;_:)
アーチャーと友情以上の熱いものを感じ合うジェニファー・コネリーは
聡明さと美しさを持ち、情熱と信念で行動していきます。
現実に、こういう人達の尽力のおかげで、
「キンバリー・プロセス」(ダイヤ原石の国際認証制度)が
生まれたんですよね。
紛争ダイヤは市場取引の15%だったのが、
今ではかなり減ったらしいです。
彼らの善の心が、悲惨な現状を変えていったのは、
暗闇で仄かな希望の光を見出したようで、
とてもうれしく胸が熱くなりました。
そんな前向きな終わり方なので少々安堵しました。
とは言え、アフリカの惨状はまだまだ無くなる事はないのでしょう。
この作品は、人間ドラマを見せながら社会的メッセージを発していて、
画面からとても強い力を感じました。
ただの遠い異国の地だったアフリカが、ちょっと身近になりましたよ。