マッチポイント
2007-11-12(Mon)

監督:ウディ・アレン
製作:2005年 イギリス・アメリカ・ルクセンブルグ
出演:*ジョナサン・リース・マイヤーズ *スカーレット・ヨハンソン
愛に負けるか。欲に勝つか。
それでも人生は運が決める。
ネタバレあります
主人公のクリス(ジョナサン・リース・マイヤーズ)は、
アイルランド出身の貧しい青年で、
『貧乏から抜け出したい』『成功したい』という夢を持って、
ロンドンにやって来ます。
その時の夢は、私には野望というギラギラしたものじゃなくて、
若者が普通に抱く向上心に見えました。
確かに最初は、普通の前向きな青年だったんです。
宣伝コピー通り、「人生は運が決める」というテーマがあります。
クリスは、テニスコーチの職を得て、上流階級の青年と知り合い、
その後はトントン拍子に好都合に事が運んでいきます。
とても運良く、申し分ない状況に のし上がれたのに、
美しく妖艶な女ノラ(スカーレット・ヨハンソン)の魅力に勝てず、
どうしてもそちらのほうになびいてしまう・・・
ここで欲を出さなければ、全ては丸く収まったはず。
ところが、ノラのフェロモンが目から唇からほとばしり出ていて、
放っておくわけにはいかない、惹かれてしまうわけです。
スカーレットは、このセクシーな役にピッタリ!
男の人生を狂わせるくらい、魅力があります。
でも、美しいノラも、後半はギャンギャンとわめきたてる
うるさい女に成り下がって、鬱陶しくなるんだけどね。
それと言うのも、富と美女の両方とも手放したくない、
欲に取り付かれた男のせいで、ノラの輝きも失せてしまうんです。
クリスは、だんだんいやなヤツになっていきます。
誰に対しても誠意がなく、その場を取り繕って立ち回っている。
ズルい男だよ、ったく!
でも、この手の話はよくありますよね。
ズルい男が選択する道も、ありきたりです。
どこが面白いのかと言えば、ラストに少し捻りを
利かせてあったところかな~
この捻りがなかったら、どうって事ない作品で終わってました。
最初のシーンで、テニスコートのネット上を行ったり来たりする
ボールが映っていて、次のようなセリフが流れます。
「テニスの試合で、ボールがネットに当たる。
その瞬間、ボールがどっちに落ちるか?
運良く向こうに落ちたら勝ち。こっちに落ちたら負けだ。」
これに重なるように、指輪を投げるシーンがあります。
指輪の落ちた場所で、お定まりの結末を想像していたら、
見事に予想を外されました。
いやな男でも、主人公となると、感情移入しちゃうのか、
運に恵まれたこの結末はホッとしてしまうから不思議です。
映画は、ここで終わって良かったと思います。
でも、霊が出ても反省の色なしのクリスが、
このまま のうのうと生きていけるわけがない。
お天道様は必ず見ているんですから。
人生のマッチポイントは、そこまでだったよ、クリス。