ステイ
2007-10-01(Mon)

監督:マーク・フォースター
製作:2005年 アメリカ
出演:*ユアン・マクレガー *ナオミ・ワッツ *ライアン・ゴズリング
あなたの感覚を試す感動のイリュージョン・スリラー!
この謎めいた雰囲気は好きです。
映像が凝ってますね~
ブルーに歪んだ水族館、永遠に続くらせん階段、
ブルックリン橋の怪しく揺れるモヤなど、
どれも不思議ムード全開です。
だから、最初のうちから、仕掛けのある話なんだなと
分かるんだけど、それがどの種類のオチなのか、
なかなか読めません。
それでも、もどかしいイライラはなく、
魅力ある俳優陣のおかげで、ずっと観ていられます。
思わせぶりなセリフが途中でありました。
「どれが現実か?これが夢なら現実は夢の中だ」
「仏教の教えにある通り、この世は全て幻だ」(色即是空の事?)
これらのセリフのように、現実とも夢ともつかない、
映像で占められていて、かなり惑わされたけど、
ストーリーとしては、実にハッキリと境界線がありましたね~
ラストに来て、「そういう事なのか」と分かりました。
最後の最後まで観ないと、理解できない作品になってました。
ここからネタバレあります****
現実は、最初と最後の事故のシーンのみでしたね。
あとは、全て夢だったんだ~!
ヘンリー(ライアン・ゴズリング)が事故に遭い、
生と死の間をさ迷う朦朧とした意識の中でみた、
幻想だったんですね。
山ほどの「Forgive me」が表す謝罪や、強い悔恨の情、
両親やガールフレンドへの愛情、
助けて欲しいと言う気持ち、
それらが短い時間の中で、繰り返し渦巻き、
混乱した世界を作り上げたんですね。
切ない感情に溢れた話だと、最後に分かりました。
この作品が分かりにくいのは、一人称がすり替わってしまっているから。
これは逆に画期的なポイントなのかもしれません。
ありえない視点だけど、そのせいで、倒錯の面白味は出ました。
でも、辻褄の合わない点もあります。
「ベス・リーヴィ」の名前は、ヘンリーの死後に出てくるんだから、
ヘンリーが知っているはずがないです。
ナオミ・ワッツが絵の裏にあるヘンリーのサインを見て
驚くのは、ヘンリーの意識とは何ら関係ないです。
本来なら、死ぬ間際に考える事は、
結婚までしたかったアシーナが中心のはずなのに、
彼女の出番が少な過ぎるのは不自然だと思います。
難解と言われる「マルホランド・ドライブ」でも、
分からないなりにストーリーに破綻がないように思えるけど、
この「ステイ」は、少々整合性に欠けているんですよね。。。
事故の瞬間から死へ旅立つまでの間に、
視覚で捉えた断片と、聴覚で捉えた断片を基にし、
混沌とした意識のフィルターを通して、
映像を作るとこうなります、と言う作品ですね。
そこには、観客の目の存在を前提としているから、
わざと混乱させるような余分なシーンが入っていたりします。
もっと、整合性が高いと感動も大きかったと思うんです。
だけど、私の情に訴えてくるものは、かなりありましたよ!
STAY WITH ME・・・「しっかりして、がんばって」「そばにいてくれ」