フラガール
2007-09-20(Thu)

監督:李相日
製作:2006年 日本
出演:*松雪泰子 *蒼井優 *豊川悦史 *岸部一徳
未来をあきらめない
福島県いわき市、
炭坑の閉山を迫られ、廃れていく町において、
再生を期して計画された、
「ハワイアン常磐センター」誕生にまつわる
実話を基にした話です。
昭和40年、時代は石炭から石油へと
移っていこうとする変わり目でした。
この時代背景が、きちんと描けていると思います。
若者のほうが、このままではいけないと、
現実がよく見えていたのには感心しました。
大人たちは、昔からの生活の基盤である炭坑から
どうしても離れられません。
顔を真っ黒にして肉体を動かす事が労働だと思い、
「こんなところに何がハワイだ」と新しいものを受け入れない。
いくら、炭坑の会社からクビを切られる者が増えようとも、
レジャーセンター建設はよそ者のやる事にしか見えない。
そんな中で、主人公の少女たちは、
「変われるかもしれない」「抜け出せるかもしれない」と、
フラダンスに未来への光を見出すんです。
「リトル・ダンサー」と内容が似てますが、
あちらは、少年のダンスが好きでたまらないという
強い思いを中心にストーリーが展開していくのに対し、
こちらは、初めにフラダンスがあるわけじゃありません。
現状を打破したいという思いが、
たまたまフラダンスによって開花していくんです。
涙する いいシーンがいろいろあって、
仲間の早苗が、家族のために夢を捨てるところが、
私は一番泣けました~~(T_T)
何かしらの事情で、望まない選択をしなければ
ならない時があるものなんです。
あれは、胸がつまるものがありました。
そんな炭坑に執着する大人たちとの軋轢の中、
少女達は希望を胸に真剣にダンスに取り組みます。
彼女達がどんどん上手くなって、
ラストで見せる 輝くようなステージは、感動ものです!
それは、「ウォーターボーイズ」「スウィング・ガールズ」にある
『晴れの舞台で幕切れ』と違って、
笑顔で働く新しい時代の幕開けに映りました。
転換期の中で揺れ動いた町を、
心温まる感動秘話として描いた良い作品です。
当時の人たちの葛藤がよく伝わってきます。
2006年日本アカデミー賞作品賞・助演女優賞・監督賞
脚本賞・話題賞 受賞