ディパーテッド
2007-08-17(Fri)

監督:マーティン・スコセッシ
製作:2006年 アメリカ
出演:*レオナルド・ディカプリオ *マット・デイモン *ジャック・ニコルソン
(ネタバレあります)
男は、死ぬまで正体を明かせない
「インファナル・アフェア」のリメイク作品だけど、
そちらはかなり記憶が薄れてしまったので、
ちょうど良かったかもしれません。
ハリウッド映画だけあって、雰囲気がシャレてます。
役者も見栄えがする人たちばかりだし、
使ってる音楽もセンスが良い。
いきなり、ストーンズの「ギミー・シェルター」だよ~!
途中、ジョン・レノンの「ウェル・ウェル・ウェル」も流れるしね。
だいたい、元のストーリー設定が面白いから、
どうやっても面白い作品になるんじゃないのかな。
リメイク権を欲しがるのは納得がいきます。
マフィアのボス(ジャック・ニコルソン)に育てられ、
警察官になって捜査情報をボスに流すコリン(マット・デイモン)と
犯罪者一家に生まれたが警察学校で優秀な成績を修め、
その後 マフィアへの潜入捜査を命じられるビリー(ディカプリオ)
潜入捜査やスパイものはよくあるけど、
それがダブルで同時という所が、見応え度を高くしています。
全く正反対の立場でありながら、
緊張でギリギリの二重生活を強いられる二人は、
表裏一体のような関係なんです。
この辺りから生まれる二人のシンパシーをもっと描いてくれると、
さらに深みが増したと思うんだけどなあ。
オリジナル作品にはあったような気がしたなあ・・・?
警察内にもマフィア内にも、ネズミがいると感じているが、
なかなか正体が分かりません。
そこで罠を仕掛ける。相手は上手くそれを察知して回避する。
互いの駆け引きは実にテンポが良くて、飽きさせません。
緊迫感はオリジナルのほうがもっと強かったかもしれませんが。
ジャック・ニコルソンのキレぶりは不気味で、さすがの存在感!
なんと言っても良かったのは、ディカプリオです。
すっかりアイドルを脱却して演技派であるところを
しっかりと見せてくれました。
「アビエイター」までとは違って、ディカプリオという名前に捉われず、
一人の役者として見る事ができました。
マット・デイモンも優等生ぶりがピッタリでしたが、
今作では悪者になってしまうから、ちょっと影が薄かったかな。
二人が同じ女医(ヴェラ・ファーミガ)に関わるのは
ご都合主義に思えるけど、けっこう意味を持ってたんですよね。
この女医は、苦しむ内面をさらけ出すビリーに
だんだん惹かれていきます。
そして、決して心を開いてくれないコリンに不信感を
募らせるようにもなります。
観客としても、コリンがビリーのデータを消去したあたりから、
「断然コリン許せんぞ」的心情になっていくでしょう。
女医は、観客の気持ちとシンクロするように、
心情が変化し、行動するのです。
お墓のシーンで『コリンざまあみろ』と思いませんでしたか?
あの封筒の行き先は分かりますよね。
それによるラストは、胸がスッとして良いと思います。
同じ過酷な運命を生きた二人なんだから、同じ結果になるべき。
すっごく呆気なかったけど、カラッと乾いた味わいは、
何の感情も引きずらせない幕引きで、潔かったです。
2006年度アカデミー賞 作品賞・監督賞など 受賞